2013 Fiscal Year Research-status Report
ON/OFF制御可能な新規蛍光化合物の合成、並びに蛍光プローブへの応用
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24790029
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
池尻 昌宏 大阪大谷大学, 薬学部, 准教授 (00412396)
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Keywords | 蛍光分子 / 蛍光プローブ / イミダゾリノン |
Research Abstract |
緑色蛍光タンパク質の発色団をモデルとした新規蛍光低分子化合物(ジアリールメチレンイミダゾリノン類、通称:DAIN類)の開発研究にあたり、平成25年度は、各種蛍光プローブへの展開を念頭にその準備的研究に従事した。特に、研究計画書に従い以下の2点を中心に検討した。1)塩基配列認識DNAプローブへの展開、2)陽イオン検出プローブへの展開。 まず、1)に関しては、ジフェニル型のDAIN (通称:DPIN)を蛍光団として、エチレングリコール側鎖の長さの異なる2種のDPIN誘導体の合成に成功した。これらは末端にアジト基を有しており、クリック反応によるオリゴヌクレオチドとの連結が可能な構造となっている。2)については、DPIN2分子をペンタエチレングリコールで連結した形の誘導体を合成した。本誘導体については、DPIN2分子と18C6クラウンエーテルとのハイブリッド構造となっていることから、カリウムイオンの添加による蛍光強度の増加を評価したところ、目視ではその蛍光は観察できなかったが、蛍光スペクトルでは3倍程度の蛍光強度の増加が観察された。本結果は陽イオン認識プローブへの展開の可能性を示唆するものであり興味深い知見である。また、上記1)、2)の他、平成24年度の研究の続き(第3世代DAIN類の開発)として、ジナフチル型DAIN類の合成についても検討し、その合成に成功した。本化合物はDPIN類と比較して、励起・蛍光波長が共に10 nm程度、長波長側へシフトしており、蛍光プローブへの展開にも好ましい特性を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年に引き続き、25年度も研究計画書通りに概ね進んでいる。25年度は、蛍光プローブへの展開として2つの課題に取り組み、目的の化合物の合成に成功している。蛍光強度の評価や向上に関する検討についてはまだ十分とは言えないが、準備段階の研究としてはある程度の成果を得ることができた。また24年度からの引継ぎ課題であった第2世代DAIN類の蛍光特性の向上(第3世代DAIN類の開発)に関する検討については、ジナフチル型の誘導体へと展開することで課題をクリアすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究は概ね順調に進展しており、今後も研究計画書に従い進めていく予定である。特に26年度は蛍光プローブへの展開の3つめのテーマである脂質プローブへの展開を中心に検討する。研究計画案ではDPIN-レシチンアナログを提案しているが、この2年間の合成研究の知見から、その合成は容易ではないと考えている。そこで、まずはその代案として、DPIN-レシチンアナログと同様の成果が期待できるDPIN-コレステロールアナログを合成ターゲットとして検討を行い、その蛍光能の評価などを行う(研究エフォートの割合として6割程度)。また、25年度の研究で十分な蛍光活性を得ることのできなかった陽イオン認識プローブの研究については、ジフェニル部位をジナフチル構造に変換した誘導体について、その合成ならびに蛍光特性の評価を検討する(研究エフォートの割合として3割程度)。その他、DNAプローブの評価についても検討する(研究エフォートの割合として1割程度)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度の物品費が当初の予定よりも少ない額であったことが主な要因と考えられる。これは化合物の化学合成が思いのほか順調に進んだことにより試薬類の費用が少なくなったためである。 26年度は以下の額(直接経費)の使用を概算している。 物品費として、1)脂質プローブの合成、ならびにその蛍光評価におよそ900,000円、2)ジナフチル型の陽イオン認識プローブの合成、ならびにその蛍光評価におよそ400,000円、3)DNAプローブの検討としておよそ50,000円。 また学会発表などに関する参加費、旅費としておよそ150,000円、論文の執筆、投稿に関する費用としておよそ50,000円
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Research Products
(1 results)