2012 Fiscal Year Research-status Report
革新的キノキサリノン骨格合成法の開発と創薬テンプレート構築への応用
Project/Area Number |
24790030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 祐輔 京都大学, 学際融合教育研究推進センター 健康長寿社会の総合医療開発ユニット, 特定助教 (90509275)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 含窒素複素環 / C-N結合形成 / 空気酸化 |
Research Abstract |
キノキサリノン骨格の効率的かつ多様性を指向した合成法は、これまで報告されていない。本年度は、本骨格の革新的な合成法の開発を目指し検討を行った。また、開発した反応を種々の置換基を有する基質に適用し、反応の基質一般性を調べるだけでなく、反応のメカニズムを解明することを目的とした。 シアノ酢酸アニリドを空気雰囲気下にて亜硝酸ナトリウム及び硫酸と作用させると、活性メチレン部位のニトロソ化とそれに続く酸化的C-N結合形成反応が一挙に進行しキノキサリンが高収率で得られることを見出した。反応は芳香環上及び窒素原子上に種々の置換基を有する基質にも適用可能であった。芳香環上にはハロゲン原子(Br, Cl, F)だけでなくアルキル置換基の共存が許容であり、窒素原子上の置換基はメチル、エチル、ベンジル基が反応条件に適応可能であった。いずれの場合も5時間で反応が完結し、高収率で目的物を与えた。 また、反応機構の機構解明のため、以下の検討を行った。すなわち、反応をアルゴン気流下で行うと望みのキノキサリンはほとんど得られず、ニトロソ化体が優先的に得られた。このことから酸化的C-N結合形成反応には空気中の酸素が関係していることが示された。また、単離したニトロソ化体を同反応条件に付したところ、キノキサリンが収率良く得られたことからもニトロソ化体が反応中間体であることがわかる。さらに、この反応は2,6-bis(t-butyl)hydroxytoluene(BHT)のようなラジカル補足剤によって阻害されることからも明らかとなった。以上の結果より、シアノ酢酸アニリドからキノキサリンへの環化反応はニトロソ化体を経由して進行しており、酸化的な環化反応は空気中の酸素による一電子酸化が関与していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、以下の3つの研究課題を計画した:(1)キノキサリン骨格の高効率的合成法の開発、2)基質一般性の検討、3)反応機構の解明。(1)についてはシアノ酢酸アニリドから簡便に合成できることを見出した。(2)(3)についてはまだまだ課題は残るものの、予備的な知見を得ることができたので、当初の計画を十分達成したと考えており、今後のブレークスルーに繋がると期待できる。以上の結果を総合すると概ね順調に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、これまで検討してきた課題を継続して進展させる予定である:(1)キノキサリン骨格の高効率的合成法の開発、2)基質一般性の検討、3)反応機構の解明。さらに、得られる生成物の応用や、キノキサリン骨格以外の含窒素複素環合成も視野に入れ検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度と同様に、主に試薬類やガラス器具などの消耗品に使用する予定である。旅費については、国内の学会発表を2件ほど予定している。
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