2014 Fiscal Year Annual Research Report
外来遺伝子防御の定量的可視化に基づく遺伝子導入メカニズムの解明と高効率化
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24790036
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐々木 章 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究員 (30580162)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 画像相関分光法 / 遺伝子デリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生細胞内における外来遺伝子の分解機構をコントロールすることによる、外来遺伝子に対する防御機構の理解と外来遺伝子発現の高効率化を目的とした。外来遺伝子が核に至ることは「侵入」であり、厳重に防御する機構が存在すると考えられる。本研究では、①生細胞内における外来遺伝子の拡散・分解などの運命を空間相関解析で定量的に可視化 ②単一細胞内における外来遺伝子発現のアウトプット(発現タンパク質の量)の定量化 ③防御に関与するヌクレアーゼの同定と制御による外来遺伝子発現の高効率化、を目指し鋭意研究を行った。2013年度までに完成した画像相互相関分光法 ccRICS (Cross-correlation raster-scan image correlation spectroscopy)の測定系を利用し、HEK293細胞ならびにMEF細胞における外来遺伝子の細胞内分解を時空間的に可視化した。その結果、DNA分解酵素活性が細胞種によって異なることを直接観察し動画として表現することに成功した。単一細胞内の遺伝子発現効率の解析に関し、環状プラスミドと直鎖状DNAをそれぞれ細胞導入した際のEGFP遺伝子発現効率をフローサイトメトリーによって単一細胞レベルで解析した。これらの結果は、細胞が持つ外来遺伝子の侵入に対する防御機構とその強さを新たに定義付けする画期的な成果である。最終年度には、以上の研究データを蓄積し再現性を確認するとともに定量的な解析を進め、論文として投稿した。 今後は、外来遺伝子発現プロセスの中で発現効率に重要な影響をもたらすDNA 分解酵素活性の同定と制御に向け、次世代シーケンサー等を利用し様々な細胞内における種々のヌクレアーゼの発現レベルを明らかにし、制御対象となる候補ヌクレアーゼを発見することが求められる。
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