2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24790039
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平松 弘嗣 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90419995)
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Keywords | 細胞接着 / 糖鎖 / レクチン / ラマン分光法 / 蛍光分光法 |
Research Abstract |
糖脂質ガングリオシドGM1と中性脂質POPCを用いたリポソームに対するヒトガレクチン1(hGal-1)の結合を、pH5-10の範囲で解析した。ラクトースへの結合と比べ、脂質膜上のGM1への結合定数およびそのpH依存性、ならびにダイマーに2ヶ所含まれる糖結合サイトの協同性は、ラクトースの場合と大きく異なっていた。例えばpH 7.5においてGM1/POPCリポソームに対する結合定数はラクトースに対する結合定数の数倍であった。また複数の糖結合サイト間の協同性を示すパラメータであるヒル係数はpH 7.5で2より大きいという結果を得た。他のpH条件においても、同様の結果を得た。 GM1糖鎖をセラミド骨格から切り離した水溶性五糖に関しては、hGal-1は結合定数が非常に小さいが、本実験では、リポソーム上のGM1に対する結合定数は、水溶性ラクトースに対する結合定数より大きいことを示した。多価糖鎖に対するレクチンの結合において、結合速度は不変であるが、解離速度が低下するために、結合定数が増大する、という現象が知られている(クラスター効果)。我々が見いだしたGM1/POPCリポソームに対する結合定数の増大は、このようなリガンドのクラスター化に由来するものと考えて矛盾しない。すなわち、脂質膜上に存在する糖脂質クラスターにおいて、クラスター効果により結合定数が増大することを見いだした。 hGal-1(ダイマー)のヒル係数が2を越えることは、複数のダイマーが同時に糖結合を起こしていることを意味する。リポソーム間の架橋となるようなhGal-1ダイマーの糖結合が起こり、適切な距離にリガンドが存在する「リポソームの間隙」に、hGal-1が効率よく結合する、と考えることで実験結果が説明される。 以上のように、脂質膜上の糖鎖と水溶性糖鎖では結合特性が異なることを示唆する結果を得た。
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Research Products
(6 results)