2012 Fiscal Year Research-status Report
高密度集積ミクロカプセルを用いた電気応答による薬物放出制御
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24790040
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 成周 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90511022)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 交互累積膜 / ミクロカプセル |
Research Abstract |
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルを修飾したポリアクリル酸(TEMPO-PAA)およびポリエチレンイミン(PEI)を用いて炭酸カルシウム粒子上に交互累積膜を作製した。その後、EDTA溶液で核を除去して(TEMPO-PAA/PEI)4/TEMPO-PAA交互累積膜ミクロカプセルを調製した。作製したミクロカプセルの確認は原子間力顕微鏡および蛍光顕微鏡を用いて行った。AFMの観察はミクロカプセルを雲母基板上に滴下し、完全に乾燥した後に行った。この結果から、作製した電気応答ミクロカプセルは、直径が2-7マイクロメートルで膜厚が58.5 ± 0.8 nmであった。また、FITCを修飾したPEI(FITC-PEI)とTEMPO-PAAで(TEMPO-PAA/FITC-PEI)4/TEMPO-PAA交互累積膜ミクロカプセルを作製して蛍光顕微鏡で観察した。この結果、水溶液中においても球状の2-6マイクロメートルのミクロカプセルが確認された。これらの結果から、目的の電気応答ミクロカプセルが作製できることがわかった。 次に、作製したミクロカプセルを金基板への固定化を試みた。基板への固定化および電解による崩壊の確認は水晶振動子ミクロバランス(QCM)法を用いて行った。正確な重量を調べるためにQCM測定は乾燥状態で行った。初めに、金水晶振動子をPEI溶液で処理してPEI膜を被覆した。次に、(TEMPO-PAA/PEI)4/TEMPO-PAAミクロカプセル溶液に浸して固定化した。このときのミクロカプセルの固定化量は、284 ± 23 ngであった。さらに、ミクロカプセルを固定化した金薄膜に+0.2 - +0.8 Vの電位を掃引した後に、ミクロカプセルの固定化量は、62 ± 6 ngであった。これらの結果からおよそ78.2%のミクロカプセルが崩壊したことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年の研究内容は、電気応答ミクロカプセルの固定化および崩壊については、期待通りの結果を得ているが、薬物の封入および放出についての知見が得られていない。今後、たんぱく質やモデル化合物を封入した電気応答ミクロカプセルの作製を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は平成24年に達成できなかった薬物の封入および放出について全力を尽くす。その後、封入薬物の漏出が報告されている交互累積膜ミクロカプセルの性能改善を目指す。本研究ではミクロカプセルからの漏出を抑えるために、ポリアクリル酸およびポリジアリルアミンマレイン酸コポリマー(PDAMA)へTEMPOの修飾することで高分子の電荷を調節して、最適なミクロカプセルの作製条件について検討する。PDAMAは両性高分子であるため、TEMPOの修飾率を変化させることで様々な割合に電荷量を制御した高分子が合成できる。この高分子を利用することで漏出が少なく崩壊しやすい電気応答ミクロカプセルが作製できると考えられる。膜の作製方法によって漏出の改善が達成できないときは、ミクロカプセルを基板表面に固定化して高分子被覆した後、EDTAによる炭酸カルシウムの溶解を行って封入された薬物の漏出を抑制する。固定化したカプセルを膜で被覆することで十分な漏出抑制効果が期待できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に予定していたミクロカプセルへの薬物封入および放出の検討を延期することによって生じた未使用額を平成25年度請求額合わせ平成25年度の研究遂行に使用する予定である。平成24年度にシステム顕微鏡を購入して、大型機器の設備は整っているため、平成25年度は、主にQCMプローブ、AFMカンチレバー、蛍光色素などの消耗品を購入する。また、旅費としてASiAN ANALYSIS XII(Fukuoka)、日本薬学会第134年会(熊本)などを予定している。
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Research Products
(5 results)