2013 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍擬似血管を標的とした新規DDS治療薬の開発と治療への応用
Project/Area Number |
24790050
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
野村 鉄也 帝京大学, 薬学部, 助教 (40582854)
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Keywords | 脳腫瘍 / 擬似血管 / 抗体 / ファージ表面提示法 / DDS / 免疫療法 |
Research Abstract |
本申請課題では、難治性がんである脳腫瘍、中でもグリオーマの治療に焦点を絞り新規治療法の開発を目指した研究を行った。我々は、近年腫瘍組織内でがん増殖および転移に関与することが報告されてきた擬似血管(Tumor Vasculogenic Mimicry; TVM)に着目し、TVMを標的とした抗体医薬の開発およびがんワクチン療法の開発を進めてきた。 その点本年度は、まず昨年度に確立した方法にて作成したTVMモデル抗原を免疫したマウスより脾臓を摘出し、脳腫瘍TVM免疫抗体ライブラリの作製を行った。具体的には、脾細胞よりTotal RNAを回収し、抗体の抗原認識部位である可変領域の重鎖(VH)と軽鎖(VL)を連結した一本鎖抗体ライブラリを作製した。さらにファージ表面提示法を駆使し作製した抗体ライブラリから、TVMに特異的な抗体を単離・創出するために、TVMモデル細胞と抗体との親和性を利用したパンニングという手法を用いてTVM高親和性抗体の選別を行った。その結果、パンニング操作を繰り返し行うことによりTVMに対して強く結合する抗体ファージの増幅を確認することができた。今後は、TVMに対する結合特異性を指標にスクリーニングを行っていく。また、TVM細胞を抗原として用いたがん免疫療法に関しては、TVMを抗原として導入した樹状細胞をマウスに免疫することにより、樹状細胞を単独で免疫したマウスと比較をして腫瘍の増殖に対する抑制作用を発揮する可能性が示唆された。 このように本研究課題により、脳腫瘍におけるTVMはがん治療における標的となりうることが示され、TVMを標的とした抗体の作製ならびにワクチン療法の開発がグリオーマに対する新規DDS型治療法の開発に繋がるものと期待される。
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