2013 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンD合成酵素の分子内SS結合形成による睡眠誘発物質放出機構の解明
Project/Area Number |
24790055
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
島本 茂 近畿大学, 理工学部, 助教 (00610487)
|
Keywords | リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素 / プロスタグランジンD / NMR / ITC |
Research Abstract |
リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素(L-PGDS)は、他に類を見ない“輸送体型酵素”である。これまで、L-PGDSは睡眠調節薬開発のターゲットとして多くの研究が為されてきたが、この酵素の律速となっているPGD2放出(受容体との受け渡し)過程のメカニズムは全く明らかになっていない。本研究では、L-PGDSのPGD2認識機構と放出機構を熱力学的および構造生物学的に明らかにしていくことを目的としている。平成24年度では、野生型(WT)L-PGDSの大量発現および精製法を確立し(研究実施計画-(1))、等温適定型熱測定法(ITC)にて、L-PGDSとプロスタノイドの相互作用解析を行った(研究実施計画-(2))。さらに、平成25年度では、L-PGDSと基質誘導体の複合体のNMR測定を行い、NMRシグナルの帰属を完了し、その情報を用いて構造決定に至った(研究実施計画-(3))。 得られた結果から、従来考えられていたL-PGDSと基質/生成物の1:1相互作用モデルとは異なる、1:2結合モデルで相互作用することが明らかになった。また、活性中心のCys65が、生成物PGD2との相互作用にも非常に重要な役割を果たしていることが示された。さらに、新たに得られた構造情報から基質の結合に重要な2つの領域を同定し、酵素反応サイクルにおけるそれぞれの役割を明らかにした。それらの情報を基に、従来の酵素反応モデルとは異なった、新たなL-PGDS酵素反応および生成物放出機構のモデルの構築を行った。
|