2012 Fiscal Year Research-status Report
標的化リポソームによる肝レドックスの非侵襲的測定法の開発
Project/Area Number |
24790058
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
岡崎 祥子 崇城大学, 薬学部, 助教 (40435152)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | レドックス / 電子スピン共鳴 / リポソーム |
Research Abstract |
本研究は生体内酸化還元(レドックス)変化を非侵襲的に測定し、病態との関係をより詳細且つ正確に明らかにする目的で、レドックス測定用プローブで標識した肝実質細胞指向性リポソームの合成を目指している。24年度はレドックス測定のためのリン脂質結合型ニトロキシルラジカル及び肝実質細胞指向性を持たせる為のガラクトース修飾リン脂質の合成法の確立を行った。 リン脂質結合型ニトロキシルラジカルは当初計画していた合成方法では反応効率が非常に悪く且つニトロキシルラジカルのESRスペクトルがかなり変形し、感度が著しく落ちていた。そこで、hydroxymethyl-PROXYLを合成し、ホスファチジン酸と結合させる方法から、Carboxy-PROXYLとホスファチジルエタノールアミンを直接結合させる方法に変更した。これにより反応過程の短縮と反応効率の改善が達成された。また、ESR感度も改善した。 ガラクトース修飾リン脂質の合成では、ガラクトースペンタアセテートを3-メルカプトプロピオン酸で活性化した後のヒドロキシスクシニイミドとの反応及びその後のホスファチジルエタノールアミンとの反応の効率が非常に悪かった。そこで、3-メルカプトプロピオン酸で活性化後、ニトロキシルラジカルと同様にホスファチジルエタノールアミンと直接結合させる方法に変更した。反応の進行は薄層クロマトグラフィーにより確認できており、反応効率も改善できたと考えられる。現在は目的化合物の精製を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ガラクトース修飾リン脂質、リン脂質結合型ニトロキシルラジカル共に当初計画していた合成方法では効率が悪く、時間もかかることが判明したため、再度合成方法を練り直した。このため、本来合成方法が確立し、次のステップに移行しているべき時期に新たに合成方法を検討し始めることになり、計画に遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. 合成した脂質結合型ニトロキシルラジカルのスーパーオキシドなどの活性酸素による酸化反応速度やアスコルビン酸などの還元剤による還元反応速度を従来のニトロキシルプローブと比較し、レドックス反応に対する反応性を評価する。 2. 緩衝液中や血清中で離脱するプローブ量を調べ、動物への投与を念頭に安定性を評価する。 3. 脂質結合型ニトロキシルラジカルとガラクトース修飾リン脂質を用いて調製したリポソームの肝細胞への取り込み効率を培養細胞を用いて評価する。 これらのin vitroにおける検討後、健常マウスへ本リポソームを投与し、各臓器中のプローブ量から本リポソームの肝臓への集積性を検討するとともにプローブの体内動態(肝臓への集積に要する時間等)を確認する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
脂質結合型ニトロキシルラジカルとガラクトース修飾リン脂質の合成において生じた実験計画の遅れから24年度の助成金から未使用の直接経費が生じた。25年度において24年度に未達成であった実験も行うため、繰り越し金はレドックス反応性の検討やプローブ安定性の検討に使用する。また、25年度請求分は当初の予定通り、細胞や動物における検討を行う為に使用する。
|