2013 Fiscal Year Research-status Report
標的化リポソームによる肝レドックスの非侵襲的測定法の開発
Project/Area Number |
24790058
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
岡崎 祥子 崇城大学, 薬学部, 助教 (40435152)
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Keywords | ESR / レドックス / ニトロキシルラジカル / リポソーム |
Research Abstract |
本研究は、生体内の酸化還元(レドックス)変化を非侵襲的に測定し、病態とレドックス変化の関係をより詳細且つ正確に明らかにするために、レドックス測定用プローブで標識した肝実質細胞指向性リポソームの合成を目指している。25年度は、24年度に検討した肝実質細胞指向性を持たせる為のガラクトース修飾リン脂質の合成法を引き続き検討するとともに、24年度に合成に成功したレドックス測定のためのリン脂質結合型ニトロキシルラジカルの測定感度などを検討した。 合成したリン脂質結合型ニトロキシルラジカルはリポソームの状態で3本線のESRシグナルが得られた。このとき、シグナルの形状からリポソーム懸濁液中のニトロキシルラジカルはほぼすべて脂質に結合していることが確認された。また、リポソーム懸濁液を調整し数時間室温に放置後、遠心して得られた上清をESR測定したところ、遊離のニトロキシルラジカルはほとんど存在せず、リン脂質とニトロキシルラジカルの結合が緩衝液中で安定であることも確認できた。リン脂質結合型ニトロキシルラジカルはリポソームの状態でもヒドロキシルラジカルとの反応性を保持していた。 本研究で合成したリポソームを用いた生体内レドックス測定用の病態モデルの1つとして敗血症モデルマウスを考えている。そこで、本研究の対照として、ニトロキシルラジカル前駆体を用いた生体計測用ESR法による敗血症モデルマウスのレドックス測定を行い、論文にまとめた(S. Okazaki et al., Free Rad. Biol. Med. 68, 2014)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ガラクトース修飾リン脂質の合成において、24年度より反応効率はあがったものの精製が難航したため計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 本年度に引き続き、合成した脂質結合型ニトロキシルラジカルのスーパーオキシドなどの活性酸素による酸化反応速度やアスコルビン酸などの還元剤による還元反応速度を従来のニトロキシルプローブと比較し、レドックス反応に対する反応性を評価する。 2. 脂質結合型ニトロキシルラジカルを含むリポソームを動物に投与し、体内動態を調べるとともに、非侵襲的測定に適切な投与量の検討を行う。 3. 脂質結合型ニトロキシルラジカルとガラクトース修飾リン脂質を用いて調製したリポソームの肝臓への取り込み効率を評価する。 4. 健常マウスと病態モデルマウスでリポソームの体内動態などを比較するとともに生体計測用ESRを用いてレドックス評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ガラクトース修飾リン脂質の合成において生じた実験計画の遅れと資金の節約から未使用の直接経費が生じた。 25年度に達成できなかった実験を行うための試薬や、本年度予定している動物における体内動態の検討に必要な物品などを購入する。また、得られた研究成果の発表のための旅費として使用する。
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