2013 Fiscal Year Annual Research Report
DNAアダクトーム解析を応用したin vivo遺伝子傷害性・変異原性試験の確立
Project/Area Number |
24790059
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
石井 雄二 国立医薬品食品衛生研究所, 病理部, 主任研究官 (70544881)
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Keywords | DNA損傷 / 遺伝子突然変異 / 遺伝毒性 |
Research Abstract |
平成24年度はLC-MS/MSによるDNAアダクトーム解析を用いた化学物質のDNA傷害性評価法の有用性を検討するため、エストラゴール(ES)を4週間強制経口投与したラット肝臓と、ルビアジン(Rub)を1週間混餌投与したラット腎臓及び肝臓について解析を実施した結果、ES又はRubに由来する既知のDNA付加体と複数の未知のDNA付加体を示すスポットが検出され、これらスポットの大きさは各被験物質の投与量依存的に増加することが確認された。以上より、本法を用いることで化学物質の迅速かつ網羅的なDNA傷害性評価が可能であることを明らかにした。平成25年度は本法をレポーター遺伝子導入動物であるgpt delta動物に応用したin vivo遺伝子傷害性・変異原性試験の確立を目的に、雌性6週齢のgpt deltaマウスにアリストロキア酸を0.2、1及び5 mg/kg/dayの濃度で4週間強制経口投与し、発がん標的臓器である腎臓と非発がん標的臓器である肝臓について、DNAアダクトーム解析とin vivo変異原性の検索を実施した。DNAアダクトーム解析の結果、アリストロキア酸に起因するDNA付加体のスポットは腎臓、肝臓ともに検出され、スポットの大きさは投与量依存的に増加した。in vivo変異原性の検索の結果、点突然変異頻度を示すgpt変異体頻度(MF)及び欠失変異頻度を示すSpi- MFsは、腎臓、肝臓ともに用量依存的に増加したものの、発がん標的臓器である腎臓では肝臓に比して高値を示すことを明らかにした。以上より、本法は化学物質の遺伝毒性について迅速かつ正確な評価が可能であることが示唆された。また、非発がん標的臓器である肝臓においてもDNA付加体及び突然変異誘発性が確認されたことから、潜在的な発がん物質の検出にも有効であると考えられた。
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Research Products
(1 results)