2013 Fiscal Year Annual Research Report
放射光X線回折を用いた医薬品共結晶体の物性可視化法の研究
Project/Area Number |
24790061
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
杉本 邦久 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (00512807)
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Keywords | 共結晶体 / 放射光X線 / 精密構造解析 / 物性予測制御 |
Research Abstract |
共結晶体内分子の電子密度分布解析を基盤とした医薬品の物性制御方法の構築のため、カフェイン共結晶体群を対象として本研究を遂行した。具体的には、新規カフェイン共結晶体を構築し、精密構造解析により定量化した分子の結合性、極性から物性(溶解度、熱・湿度安定性)を制御している分子間相互作用を解明することを試みた。得られた新規カフェイン共結晶体の物性については、熱分析及び熱・湿度安定性や溶解性などの測定を行った。さらに合成した共結晶体は、大型放射光施設SPring-8を用いたX線回折データから精密構造解析を行った。実験的に直接観察した電子密度分布、静電ポテンシャル分布、電荷密度分布から分子内の結合性、電子分極及び分子の極性、分子間相互作用を定量化し、物性(溶解度、熱・湿度安定性)との相関関係の解明を検討した。本研究では、カフェインと8 種のジカルボン酸化合物HOOC-(CH2)n-COOH(n = 0~7)の共結晶体の合成に成功した。これらの共結晶体群の粉末結晶についてTG/DTA による熱分析測定を行った結果、共結晶体の崩壊に伴う吸熱ピークは、アルキル鎖が長くなるにつれて低温側にシフトし、共結晶体の安定性が失われていくことを明らかにした。シュウ酸とカフェインにより構築された共結晶体では、放射光X 線回折を用いた精密構造解析により電子密度分布及び静電ポテンシャルを明らかにした。今後、カルボン酸基以外にもピリジン、アミド基、ピリダジンなどの水素結合部位として持つ有機化合物により構築した類縁カフェイン共結晶体の合成を行い、熱分析や安定性試験及び精密構造解析により物性との相関を明らかにする。さらに、構造物性科学の視点から共結晶医薬品の安定性を予測し、要求される物性を発現する医薬品共結晶体の分子機能設計の議論を行う。
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[Journal Article] Preparations and structural diversity of copper(I) ethylene adducts with related 3,6-bis(2-pyridyl)-1,2,4,5-tetrazine ligands2014
Author(s)
Masahiko Maekawa, Takeshi Miyazak, Kunihisa Sugimoto, Takashi Okubo, Takayoshi Kuroda-Sowa, Megumu Munakata, Susumu Kitagawa
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Journal Title
Inorg. Chim. Acta
Volume: 410
Pages: 46-53
DOI
Peer Reviewed
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