2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト常在性の細菌が糖尿病状態の宿主に感染するための病原性分子ネットワークの解明
Project/Area Number |
24790069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 靖彦 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60508141)
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Keywords | 細菌学 / 感染症 / 糖尿病 / 病原性遺伝子 / カイコ / ヘム取り込み / N-アセチルグルコサミン / 黄色ブドウ球菌 |
Research Abstract |
糖尿病患者数は、世界中で増加しており社会問題となっている。糖尿病合併症のひとつである感染症は、多くの場合、元々ヒトの皮膚や咽頭などに常在している細菌が引き起こすが、それらヒト常在性の細菌が糖尿病患者に対して重篤な感染症を起こすメカニズムは不明である。我々は、カイコを高血糖にする技術とカイコに病原体を感染させる技術を組み合わせた、高血糖カイコ感染モデルを確立している。本研究では、この実験系を用いて、高血糖状態のカイコを殺傷するために必要な病原体の遺伝子を網羅的にスクリーニングし、同定した遺伝子の機能解析を行った。 平成24年度において我々は、高血糖カイコを殺傷するために必要な黄色ブドウ球菌の遺伝子を3つ同定した。これらの遺伝子欠損株は、通常状態のカイコに対しては、病原性に影響を与えなかった。また、このうちのひとつであるヘム鉄取り込みに関わるisdA遺伝子は、糖尿病マウスに対する病原性に寄与するが、通常マウスに対する病原性には寄与しないことも分かった。 平成25年度において我々は、平成24年度に同定した新規病原性遺伝子であるhdvA (hyperglycemic-state dependent virulence factor against silkworm A)の遺伝学的、生化学的解析を行い、HdvAタンパク質がN-アセチルグルコサミンにリンゴ酸が結合したGlcNAc-mal (N-acetylglucosamine malate)を脱アセチル化する活性を有することを見出した。また、hdvA遺伝子欠損株においては、生成物であるglucosamine malateの細胞内濃度が低下していた。よって、黄色ブドウ球菌の細胞壁のIsdヘム鉄取り込み機構や細胞内glucosamine malate量の調節が糖尿病宿主への感染に重要な役割を果たすことが明らかとなった。
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