2013 Fiscal Year Annual Research Report
定量的プロテオミクスで解き明かすミトコンドリア膜の透過性遷移の分子機構
Project/Area Number |
24790076
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山本 武範 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 講師 (80457324)
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Keywords | ミトコンドリア / 透過性遷移 / 酵母 / プロテオミクス |
Research Abstract |
本研究は酵母ミトコンドリアを用いた定量的プロテオミクス解析によりアポトーシス誘導のマシナリーであるミトコンドリア膜の「透過性遷移」の分子機構を解明することを目的とする。この目的に向け、24年度は、酵母のミトコンドリアに透過性遷移を誘導する最適な酸化剤の選択、および酸化したタンパク質の精製・濃縮系の確立、を行った。 25年度は、これまでに確立した技術基盤をもとに、塩化鉄(II)を添加したミトコンドリアで酸化されるタンパク質を質量分析装置にて同定することを試みた。まず、通常の窒素源を含む培地、および安定同位体で標識された窒素源を含む培地、を用いてそれぞれ培養された酵母からミトコンドリアを単離した。次に、通常の窒素源(14N)を含む培地で生育させた酵母ミトコンドリアに塩化鉄(II)を添加し、一定時間インキュベートすることにより酸化ストレスを与えた。このミトコンドリアと、内部標準とする安定同位体で標識した酵母ミトコンドリアを、等量ずつ混合した後、モノアビジンカラムによって酸化されたタンパク質の濃縮を行った。得られたタンパク質サンプルをプロテアーゼで消化した後、質量分析装置Q-TOF ultimaにて解析した。その結果、酸化ストレスを与えたミトコンドリアに由来するペプチドほとんどは、内部標準として用いた安定同位体標識されたペプチドと同等のシグナル強度であった。一方、酸化ストレスを与えたミトコンドリアにおいて内部標準より優位に高いシグナル強度を示すペプチドが2種類検出された。これらのペプチド断片を含むタンパク質が酸化を受けたタンパク質であると考えられた。 今回、塩化鉄(II)の添加によって酸化を受けた考えられるミトコンドリアタンパク質を2種類同定することができた。現在、同定された2つのタンパク質について、遺伝子欠損酵母を作製し、透過性遷移の制御機構との関係を解析している。
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Research Products
(3 results)