2012 Fiscal Year Research-status Report
発達障害の発症に対する胎児期への小胞体ストレス負荷の影響
Project/Area Number |
24790085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
川田 浩一 千葉科学大学, 薬学部, 助教 (30581631)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ER stress / Differentiation / Neurite outgrowth / HRD1 |
Research Abstract |
本研究の目的は,自閉症発症と小胞体ストレスについて,両者間の関連性を明確にするとともに,自閉症発症のメカニズムを解析することにある.当該年度の計画は,胎児期の小胞体ストレスと自閉症の因果関係を明確にすることである. まず,in vitro解析において,P19細胞への小胞体ストレス負荷により樹状突起の伸張抑制と共にシナプス形成因子のneurexin-1およびシナプス足場タンパク質のShank3の発現が抑制されていた.これらのタンパク質は,自閉症発症の原因遺伝子として同定されたものであり,この結果は,自閉症発症メカニズム解明において小胞体ストレス誘導に伴う樹状突起の伸張抑制が関与するという重要な手がかりの一つとなり得るだろう. また,in vivo解析において,妊娠マウスにバルプロ酸ナトリウムを投与することにより,自閉症様の症状をもつ仔マウスを作成した.この自閉症モデルマウスを用いて,生後1日目および生後10週目の脳内各部位の各種神経系マーカータンパク質,シナプス形成タンパク質および小胞体ストレスマーカータンパク質の発現変化を解析した.その結果,タンパク質レベルではいずれのタンパク質も著明な変化が認められなかった.しかし,mRNAレベルで神経系の分化に関与するbHLHプロニューラル遺伝子群の発現に顕著な変化が認められた. 以上の結果より,in vivo解析においては更なる解析を必要とするものの,自閉症発症に小胞体ストレスによる神経分化およびその後の樹状突起の伸張が関与することが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に予定していたin vivo解析における結果が,当初の予想通りの成果が出ず予定通り進行しなかった.一方で平成25年度以降に実施する計画であったin vitro解析でシナプス関連因子と小胞体ストレスとの関連性が今年中に確立されたので達成度としては区分「(2)おおむね順調に進行している」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの達成度】にも記載したが,当該年度の計画が予定通り進行しなかったが,同時に進行していた今後の計画が予想以上の成果をあげたので,平成25年度以降は,in vivo解析を中心に解析を行うことを計画している.また,それと同時にin vitro解析も引き続き計画通り解析を行う予定である. in vivo解析おける対応策として,解析したポイントである生後1日目および生後10週目以外に神経分化やシナプス形成が盛んに行われる胎生期14.5日以降での解析を重点的に行いたいと考えている.また,バルプロ酸ナトリウム以外の自閉症モデルマウス作成方法(ストレッサーの羊水内投与など)も検討していきたいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)