2012 Fiscal Year Research-status Report
IL-23p19、IL-27EBI3とこれらの新しい会合分子による免疫応答の制御
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24790091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
溝口 出 東京医科大学, 医学部, 助教 (00569527)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | IL-27 / EBI3 / Colitis |
Research Abstract |
(1) EBI3の腸炎誘導における役割:まず、ナイーブCD4+T細胞でTCRを介した刺激によりEBI3発現が増強されることを見出した。次に、EBI3欠損マウス由来のナイーブCD4+T細胞を免疫不全RAG2マウスに移入すると組織学的および腸の長さを比較しても腸炎が軽減された。この時、大腸粘膜固有層に浸潤した単核球を分離し、PMA+イオノマイシンで刺激しFACSを用いたサイトカインの細胞内染色によりIFN-g産生が減少していた。さらに、抗CD3抗体で刺激した上清中のIFN-g産生も低下していた。 (2) T細胞でのEBI3の役割:野生型およびEBI3欠損マウス由来のナイーブCD4+T細胞をT/NK細胞を除去した脾細胞を抗原提示細胞として抗CD3抗体で刺激し、細胞内染色によりサイトカイン産生を調べると、上記の結果と同様に、特にTh17+細胞のIFN-g発現量が有意に低下していた。次に、その作用機序を明らかにするために、まず、EBI3が細胞外に放出されサイトカイン様分子として効いているか、それとも細胞内で効いているかを調べた。野生型マウスとしてGFP-TgマウスおよびEBI3欠損マウスから調製したナイーブCD4+T細胞を1:1で等量混ぜて同様に刺激して細胞内染色によりサイトカイン産生を比較すると、GFP-Tgの野生型細胞からの産生は、単独の時と変わらなかったが、EBI3欠損マウス由来の細胞からのIFN-g産生は低下していた。以上より、EBI3が細胞外に出てサイトカイン様に作用している可能性は低く、細胞内でアダプター分子様の分子として作用している可能性が強く示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度は、EBI3欠損マウスを用いた解析より、炎症性腸炎誘導におけるT細胞でのEBI3によるIFN-g産生増強を介した病態形成における役割が明らかになった。その作用機序としては、細胞外に放出されるサイトカイン様分子として効いておらず、細胞内のアダプター分子様として作用している可能性が示唆された。ゆえに、24年度の目的はほぼ達成されたと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の解析結果より、EBI3が細胞内でアダプター分子として機能していることが明らかになったので、平成25年度はその作用機序について検討する。さらに、最近、我々は、予備的実験結果より、オートファジー関連因子であるLC3と結合するユビキチン結合蛋白質で、オートファジーによる凝集異常蛋白の分解に関わるp62/SQSTM1がEBI3と会合する可能性を示唆する結果も得ているので、この可能性を明らかにする。 (1) EBI3のアダプター分子としての作用機序:まず、EBI3とp62/SQSTM1が会合するかを、それぞれの分子に異なるタグを付けた発現ベクターを強制的に発現させた培養細胞の細胞溶解液を、それぞれのタグに対する抗体を用いた免疫沈降反応により調べる。会合が見られれば、それぞれの分子の欠失変異体を作製し、会合部位を明らかにする。次に、抗CD3抗体で活性化したT細胞の細胞溶解液とそれぞれの分子に対する抗体を用いて、内在性分子同士の会合を調べる。さらに、抗CD3抗体で刺激したT細胞でのEBI3とp62/SQSTM1の局在の様子やp62小体にEBI3が含まれるかを免疫組織学的に検討する。IFN-g産生との関係も検討する。 (2) オートファジー誘導におけるEBI3の役割:p62/SQSTM1は、オートファジーによる凝集異常蛋白の分解促進や腫瘍増殖に重要であるため、この過程におけるEBI3の役割について検討する。まず、ハンチントン病の病因遺伝子産物であるハンチンチンの一部を強制発現したモデル細胞に、さらにEBI3またはp62への会合部位の変異体を共発現させ、異常ハンチンチンの凝集体形成への影響を調べる。また、マウスメラノーマ腫瘍B16F10にEBI3を遺伝子導入した腫瘍を作製し腫瘍増殖への影響をin vitroおよびin vivoで比較し、その作用機序についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の未使用金は、最終的に交付金額と同額に端数を合わせることが難しいための、次年度への繰り越し金とした。これと次年度の交付金額を合わせた全ての経費は、上述の実験遂行に必要なマウスや抗体、試薬、培養器具などの消耗品代に充てる予定である。
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Research Products
(13 results)