2012 Fiscal Year Research-status Report
二本鎖RNAの細胞間移動を制御する分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
24790092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
今江 理恵子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (60584000)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | RNAi / メンブレントラフィック |
Research Abstract |
二本鎖RNA(double-stranded RNA;dsRNA)は細胞内においてRNA干渉(RNAi)を引き起こすが、dsRNAは細胞外に分泌されて別の細胞にも伝搬し、RNAiを引き起こすことが知られている(systemic RNAi)。しかしながら、dsRNAが細胞間を移動する分子メカニズムはほとんど明らかになっていない。 これまでに線虫 C. elegansを用いて、メンブレントラフィックに関わる遺伝子群を対象にsystemic RNAiに関わる遺伝子のスクリーニングを行い、いくつかの候補遺伝子を得ている。このうち、まず哺乳動物まで高度に保存された遺伝子の1つに着目し、変異体を用いた詳細な解析を行った。この遺伝子の変異体では、全ての体細胞、生殖細胞でsystemic RNAiに異常を示すこと、また、RNAiのマシナリーそのものには異常がないことが分かった。この遺伝子が、dsRNAを分泌する細胞・取り込む細胞のいずれで機能しているのかを明らかにするために、細胞特異的レスキュー実験を行った。その結果、dsRNAを取り込む細胞で機能することが明らかになった。 一方、dsRNAの細胞間移動に関わる分子経路をより明らかにするために、systemic RNAiに関わることが既知の遺伝子や本研究で同定した遺伝子と機能的に関連する遺伝子を同定したいと考えている。この目的で、これらの遺伝子の変異体に対して点突然変異を導入し、systemic RNAiの異常を抑圧するサプレッサースクリーニングを行う。現在までに、スクリーニング系の構築が完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、systemic RNAiがいかにして細胞内外を移動するのか、その分子メカニズムを明らかにすることである。細胞間の分泌・取り込みのステップだけでなく、その前後の細胞内でのdsRNAの動態の解明も視野に入れる。現在着目している遺伝子の解析から、dsRNAを取り込んだ細胞内におけるdsRNAのメンブレントラフィックによる輸送経路が明らかになりつつある。この遺伝子の解析を足がかりとして、遺伝学的解析やライブイメージングなどにより、上流や下流の遺伝子や輸送経路についても広げていくことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在着目している遺伝子について、さらに詳細な解析を進める。具体的には、dsRNAの輸送経路のどの過程を担っているかを明らかにする。このためには、dsRNAや細胞内オルガネラを可視化した条件下で、dsRNAの挙動を観察する必要がある。線虫におけるエンドソーム、ゴルジ体など各種オルガネラを可視化するためのマーカーは、既に揃っている。RNAの可視化については、蛍光標識RNAや、必要に応じて最近開発された手法である、RNAアプタマーとアプタマーに結合すると蛍光を発する有機小分子を用いる方法などを検討する。また、着目している分子が細胞内のどのオルガネラに局在するかを解析する。また、dsRNAの細胞間移動に関わる遺伝子をさらに探索するために、systemic RNAiに関わることが既知の遺伝子や本研究で同定した遺伝子の変異体を用いたサプレッサースクリーニングを行う。さらに、線虫を用いて明らかにした分子メカニズムの哺乳動物細胞における保存性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品:薬品は遺伝子工学(ポリメラーゼ、制限酵素、プレップ、シークエンス等)および生化学的解析(抗体等)に要する試薬を中心に購入する(30万円)。プラスティック器具として主に線虫培養用シャーレ、チューブ類を購入する(10万円)。 旅費:得られた研究成果を学会にて発表し、最新の情報を収集する。海外1回(15~20万円)、国内2回(10万円)の予定である。 その他:得られた研究成果を学術雑誌に投稿するため、投稿料として10万円使用する予定である。 翌年度以降には、哺乳動物細胞の培養を始めるにあたり、消耗品に20万円程度追加で使用する予定であるが、今年度に前倒しで開始する場合も考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Mitochondria-type GPAT is required for mitochondrial fusion.2013
Author(s)
Ohba Y, Sakuragi T, Kage-Nakadai E, Tomioka NH, Kono N, Imae R, Inoue A, Aoki J, Ishihara N, Inoue T, Mitani S, Arai H.
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Journal Title
EMBO Journal
Volume: 未定
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Ablation of ALCAT1 mitigates hypertrophic cardiomyopathy through effects on oxidative stress and mitophagy.2012
Author(s)
Liu X, Ye B, Miller S, Yuan H, Zhang H, Tian L, Nie J, Imae R, Arai H, Li Y, Cheng Z, Shi Y.
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Journal Title
Molecular and Cellular Biology
Volume: 32
Pages: 4493-4504
DOI
Peer Reviewed
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