2013 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病末梢慢性炎症の脳内誘導の起因となる脳ペリサイトのPAR-1シグナル
Project/Area Number |
24790102
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
町田 崇 福岡大学, 薬学部, 助教 (30586144)
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Keywords | 脳内炎症 / 糖尿病 / 脳ペリサイト / トロンビン |
Research Abstract |
糖尿病病態時には末梢だけでなく脳内でも炎症が認められ、糖尿病性認知機能障害が生じることが知られている。本研究は、糖尿病病態時の末梢炎症の脳内伝播機構に対する脳ペリサイトのトロンビン-Protease Activated Receptors(PARs)シグナルの関与を明らかにすることを目的とし、前年度に引き続き、本年度は以下ことを明らかにした。 1)2週間および8週間の高脂肪食負荷により2型糖尿病モデルマウスを作成し、末梢血中、肝臓、脳のトロンビン量を測定した。2週間負荷マウスでは末梢血中でのみトロンビン量が増加し、8週間負荷マウスではさらに肝臓および脳でも優位にトロンビン量の増加が見られた。糖尿病の進展に伴い、脳内のトロンビン量が増加することが示唆された。2)in vitroの実験において、脳ペリサイトがトロンビン濃度依存的にBBBの透過性を亢進させ、その際にタイトジャンクション蛋白の一つであるZO-1の局在変化が生じることが分かった。3)脳ペリサイトは、トロンビンに反応して炎症性物質であるTNF-α、IL-1β、IL-6、MMP-9を産生することが分かった。さらに、PARsの4種類のサブタイプのうち、MMP-9の産生にはPAR1が一部関与し、IL-1βの産生にはPAR1以外のPARsが関与することが分かった。 以上の結果より、糖尿病病態時に脳内に増加したトロンビンに脳ペリサイトが反応し、BBB透過性亢進および炎症性物質産生を介して、脳ペリサイトが脳内炎症に関与する可能性が示唆された。つまり、本研究で得られた新規の知見は、糖尿病病態時の末梢炎症の脳内伝播機構に対して、脳ペリサイトのトロンビン-PARsシグナルがその起因となる可能性を示唆する重要な結果であると考えられる。
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