2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石塚 玲子 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 専任研究員 (60342747)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | コレステロール |
Research Abstract |
コレステロールは細胞膜の主要成分で、特にシグナル伝達に関わる脂質ドメイン(脂質ラフト)の形成と機能において、重要な役割を果たすと考えられている。コレステロールは、小胞体から細胞膜へ主に小胞輸送を介さずに輸送されるが、どのような分子が関与しているかは明らかでない。そこで本研究では、この輸送に関わる分子をスクリーニングし、その機構を明らかにすることを目的とした。 平成24年度は、化合物ライブラリーを用いて、コレステロールの小胞体から細胞膜への輸送を阻害する化合物のスクリーニングを行った。一次スクリーニングとして、コレステロールプローブを用いた細胞染色によるスクリーニングを行った。細胞を化合物で処理した後、コレステロール結合タンパク質を用いて細胞表面のコレステロールを染色し、細胞膜コレステロール量を減少させる化合物を選択した。次に別のコレステロールプローブ・フィリピンを用いて細胞内コレステロールを染色し、化合物処理によってコレステロール局在が変化するかを観察した。この系を用いて、ヒット化合物から細胞内にコレステロールを蓄積させる化合物を除いた。 次に、一次スクリーニングで得られた化合物について、コレステロール代謝に与える影響を放射ラベル実験により調べた。さらに、同様の生化学的実験により、化合物が小胞体から細胞膜へのコレステロール輸送に与える影響を調べた。その結果、コレステロールの細胞膜への輸送を低下させる化合物を複数取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化合物ライブラリーのスクリーニングの結果、コレステロールプローブによる細胞膜コレステロールの染色を減少させ、細胞膜へのコレステロール輸送を低下させる化合物を得ることができた。より阻害効果の高い化合物を取得できる可能性もあるため、さらに化合物の種類を増やしたスクリーニングや、現在取得した化合物の構造類似体の効果を調べるなどの実験が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングを進めるとともに、得られた化合物の標的分子の同定を試みる。 1.これまでのスクリーニングで得られた化合物の類似体について、コレステロール輸送阻害活性を調べ、より効果の高い化合物を取得する。 2.ヒット化合物の標的分子を同定するために、細胞抽出液より化合物ビーズに結合するタンパク質をアフィニティ精製し、質量分析を行う。同定したタンパク質の発現をRNAiにより抑制し、コレステロールの小胞体から細胞膜への輸送が阻害されるかを放射ラベル実験によって調べる。 3.同定したタンパク質がどのようにコレステロール輸送に関与するかを明らかにする。人工脂質膜小胞を用いたin vitroコレステロール転移実験を行う。転移に必要な脂質の種類を明らかにするために、リポソームの脂質組成を変化させ、コレステロール転移活性への影響を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた研究計画がおおむね順調に進展しているため、平成25年度は主に実験を遂行するための物品費として予算を使用する。また、平成24年度は学会発表するには至らなかったため、平成25年度には国内学会で成果を発表するための旅費としても使用することを計画している。
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