2013 Fiscal Year Annual Research Report
核酸塩基の回転角制御に基づく人工核酸創製法に関する研究
Project/Area Number |
24790110
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
兒玉 哲也 名古屋大学, 創薬科学研究科, 准教授 (00432443)
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Keywords | 核酸 / 有機化学 / 核酸医薬 / 薬学 / 創薬科学 |
Research Abstract |
重要性を示唆する研究が数多くあるにも関わらず実証例がほぼ皆無な「核酸塩基の回転角と核酸高次構造の熱的安定性の関連」を追求し、次世代医薬として注目されている核酸創薬の進展ために必須な核酸素材の開発を促すことを目的として本研究を実施した。 まず、8-アザ-7-デアザプリン類と7-デアザプリン類を核酸塩基とするLNAを合成し、そのグリコシド結合周りの回転角を計算科学的に見積もった。熱力学的に安定なグリコシド結合周りの回転角は、LNA-7-デアザプリン類ではRNA中で観察される回転角とほぼ同じである一方で、LNA-8-アザ-7-デアザプリン類ではDNA中で観察される回転角に近い事が明らかとなった。また、その回転角と二重鎖核酸安定化能との間には強い相関があり、LNA類が二重鎖を強固に安定化するには二重鎖RNA中で観察される塩基の回転角をもつことが重要である事が分かった 。 また、D-グルコースまたはD-マンノースを出発原料として、テトラヒドロピラン骨格をもつ2',5'-結合型DNA類縁体とシクロヘキセン骨格をもつLNA類縁体のヌクレオシドの合成に成功した。また、新たに核酸塩基と糖部間で架橋を持つチミンヌクレオシドの合成を行った。加えて、本研究で合成した各種人工ヌクレオシド、そして新たにセレノLNAを合成してそれぞれの円二色性を測定した結果、円二色性は糖部構造に影響されず 、グリコシド結合周りの核酸塩基の回転角を反映することが強く示唆された。 さらに、シクロヘキセン骨格をもつLNA類縁体を導入したオリゴDNAが核酸分解酵素に対する高い耐性を示すこと、舟形のテトラヒドロピラン骨格をもつ2',5'-結合型DNA類縁体が天然のDNAと比較して1塩基あたり最大6度程度の熱的安定化効果を示すことを明らかにし、核酸技術に利用可能な新しい核酸分子としての可能性を見いだす事に成功した。
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