2012 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレス誘導性タンパク質の機能と発現の二極面的制御に基づく新規制癌薬の開発
Project/Area Number |
24790114
|
Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
遠藤 智史 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (60433207)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | aldo-keto reductases / 制癌薬 |
Research Abstract |
癌において発現上昇し、酸化ストレス防御機構として機能するNrf2誘導性のaldo-keto reductases (AKR) の機能及び発現を制御する新規制癌薬候補物質の探索を最終目的として、初年度にあたる今年度は以下の点について研究を行った。 [1. AKR酵素の阻害剤の探索] (1) AKR1B10阻害剤: リード化合物として得ていた化合物C1 (chromene-3-carboxamide誘導体) のドッキングモデルを元に各種誘導体を合成し、その阻害効果を評価した。誘導体の構造活性相関の検討により、本化合物を含むクロメン誘導体の新たな結合様式が推測された。この新結合様式に基づき、現在新たな誘導体を創製しているところである。また、天然物由来成分の中からキサントン骨格を有するγ-マンゴスチンが本酵素の強力な阻害剤であることを見出し、学術誌Biol. Pharm. Bull.に発表した。 (2) AKR1C3阻害剤: AKR1C3阻害剤としてこれまでに見出しているbaccharinは高い選択性を持つことが特徴である。そのドッキングモデルに基づき誘導体を合成した。その結果、高い選択性を維持したまま、活性を約4倍向上させた化合物の創製に成功した。[2. miRNAの探索] 公開されているmirBase、miRanda、TargetScanなどのmiRNA標的予測サイトを用いて、AKR1C3を標的とするmiRNAを選択した。現在、ヒト由来各種癌細胞株におけるmiRNA発現量を検討している。[3. AKR酵素安定発現癌細胞株の構築] Life technologies社のJump-In Fast Gatewayシステムを用いて、CMVプロモーター共発現系を構築したが、形質転換効率が悪く、目的とする安定発現株は得られなかった。現在、別のプロモーターへの変更など各種検討を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AKR酵素の特異的阻害剤の創製研究については交付申請書に記載した内容が計画通り進んでいると考える。その中には論文作成のため、平成25年度に予定していた細胞実験における効果の検証を終えているものもあり、想定以上に進行しているところもある。一方で、遺伝子発現調節機構の解明やAKR酵素安定発現癌細胞株の構築については、当初予定していた実験系での成功に至らなかったため、実験系を修正し、対応しているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
AKR酵素の特異的阻害剤の創製研究については、予定通りに進行しているため、引き続き誘導体の創製を行いながら、細胞、in vivoでの有効性を評価していく。安定発現癌細胞株は、CMVプロモーターでの発現が弱かったため、CAGプロモーターでの発現を試みるとともに、現在過剰発現に成功しているベクターとハイグロマイシンによるセレクションが可能なベクターとの共発現系による検討も同時に行うことで対応していく。その他の検討項目については、計画通り進行する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度予算に分光光度計の購入を含めていたが、キャンペーンの時期の関係もあり、効率よく予算を執行するため、平成25年度に繰り越した。それ以外の消耗品などの執行については申請時の計画通りに使用する予定である。
|