2012 Fiscal Year Research-status Report
ホウ素クラスターの特徴を利用した検査、診断、治療を目的とする創薬研究
Project/Area Number |
24790115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
太田 公規 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (90347906)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ホウ素クラスター / アニオンレセプター / 超分子 / 機能性分子 / 医薬化学 |
Research Abstract |
環境中や生体内に存在する生体機能性アニオンを選択的に認識する化合物は、環境汚染を測定できる検査薬や疾病の診断薬、もしくは生体内でアニオンの移動を制御できる疾病の治療薬となり得る。今年度は、既に見出したアニオン認識化合物の蛍光センサーとしての可能性を探るべく、フルオレセイン誘導体を用いたアニオン検出を試みた。カルボラン誘導体存在下ではフルオレセインとの複合体形成のため蛍光は消失したが、塩素アニオンの添加によりフルオレセインが遊離し、その蛍光は回復した。 次に、新規アニオン認識化合物の創製を目指し、ジフェニルアミン誘導体にカルボランを結合した化合物を合成した。空間的に狭いのかフッ素アニオンや塩素アニオンに結合するもののリン酸アニオンや硫酸アニオンにはほとんど結合しなかった。しかし、化合物にビフェニル構造を導入したところ、蛍光を示すようになった。当初の目的であったリン酸選択的なアニオンレセプターの創製は叶わなかったが、新規フッ素イオン選択的蛍光センサーを見出した。これは蛍光が生じたり消えたりするセンサーとは異なり、波長シフト型のセンサーであった。 クマリンを利用したフッ素イオン高選択的蛍光センサーについて、リンカー部の長さおよびリンカーについて検討した。リンカー部位は炭素鎖が長くなるにつれ蛍光強度の低下が見られた。リンカーは長くてもエステルにするとフッ素イオン選択性を示したことから、この場合は分子内反応によりクマリンが遊離して蛍光が生じたと考えられる。これはエステル誘導体がChemodosimeterとなる可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
設計している化合物のアニオン認識部位が狭いためか、リン酸アニオン選択的なアニオンレセプターを見出すことに苦労している。
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Strategy for Future Research Activity |
既に見出しているアニオンレセプターについて、物理化学的な評価からより実践的な評価へ移行する。特に、塩素イオンレセプターについては、癌細胞での評価を中心に検討し、アニオン輸送によるアポトーシスもしくはpH上昇による細胞死など新たなメカニズムを有する抗腫瘍性化合物の創製を目指す。 リン酸アニオン選択的な化合物については、既存のリン酸アニオンレセプターの化学修飾による新規化合物への誘導を行う。幾つかの誘導体を合成し、そこからリン酸アニオンを捕捉する必要条件を抽出し、カルボランを利用した新規リン酸アニオンレセプターの構築を目指す。 今年度見出した新規アニオンセンサーについて、溶媒効果や検出限界など物理化学的性質を明らかにする。また、現在はフッ素アニオンが存在すると青色蛍光から緑色蛍光へシフトするが、さらに明確に判断できるよう赤色蛍光までシフトするような化学修飾を施す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に繰り越した研究費を利用し今までに合成した化合物の評価を積極的に行い、機能性の高い分子を見出すことに注力する。特にリン酸アニオンを標的とした化合物の創製に苦労しているので、そちらに時間と研究費をつぎ込み、芽がでるような化合物の探索を集中的に行う。
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Research Products
(14 results)