2014 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素クラスターの特徴を利用した検査、診断、治療を目的とする創薬研究
Project/Area Number |
24790115
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
太田 公規 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (90347906)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ホウ素クラスター / 創薬化学 / アニオン認識 / 超分子化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内におけるアニオンの濃度はチャネルなどにより厳密に維持されているが、何らかの要因によりアニオンの濃度バランスが崩壊すると、細胞内pHの変化や体液の粘性の変化などにより細胞死を引き起こすことが知られている。初年度に、今までに見出したアニオンレセプターについて癌細胞における細胞死誘導効果を精査したが、特に望む生物活性を示す化合物を見出すことはできなかった。本研究期間内に新たに合成したアニオン認識化合物について細胞死誘導効果を精査したところ、トロポロン環およびFDBP構造を有する幾つかのアニオン認識化合物に細胞死誘導活性を見出した。類似構造を有する化合物の活性を比較したところ、カルボラン環が活性発現に必須であった。しかしながら、本研究期間内に、アニオン認識と細胞死誘導がどのように関係しているのか、そのメカニズムについては検証することができなかった。これについては現在検討中である。 本研究者が見出したジフェニルアミン骨格を有する新規アニオンレセプターに蛍光発現構造を組み込み、カルボランを結合させたところ、フッ素イオンの認識により強い黄色の蛍光を発する化合物を創製することに成功した。ジフェニルアミン骨格は、合成が容易であり構造修飾も簡便であることから、カルボランと組み合わせることによりアニオン認識ポリマーや生体制御化合物への応用が可能と考えられる。 また、カルボラン誘導体の新たな機能を探るため、創薬研究も並行して進めカルボランの医薬構造としての有効性および優位性を確認している。 本研究は、無機化合物であるホウ素クラスターの電気的、物理化学的、構造的性質を、有機化学的視点で理解し、新しい切り口で創薬化学へアプローチすることを目的としていた。研究の進行は計画から遅れたものの、アニオン認識と医薬化学を融合させる出発点と成り得る成果が得られた。
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Research Products
(6 results)