2012 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質の高次構造構築制御による生体応答調節の基礎医薬基盤
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24790119
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
青山 洋史 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (40374699)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 虚血性疾患 / ミトコンドリア / PTP / ダントロレン / C型肝炎 |
Research Abstract |
本年度ではまず、リード化合物であるダントロレンの構造展開を行い、カルシウムイオンによるミトコンドリアの膨潤破裂を指標とした評価系を用いて構造活性相関を展開した。具体的にはまず、ダントロレン自身のミトコンドリア保護作用の有無を検討した。その結果、微弱ながらもダントロレンが保護作用を示すことが確認されたため、ダントロレンの3種類の部分環構造、特にフェニル基とヒダントイン部それぞれに対する構造修飾体を種々合成し、ミトコンドリア保護作用の有無の検討を行った。フェニル基部分への構造修飾では、ハロゲン元素の導入が活性向上に有用であることが明らかとなった。また、ヒダントイン部のイミド窒素上への置換基導入に関しては、メチル基のような単純なアルキル基の導入でも活性の向上は見られるが、芳香族性を有する官能基をアルキル基の末端に付与した方が保護活性の向上傾向にあることが分かった。さらにヒダントイン部とフリル基をつなぐリンカー部の検討を行った結果、リード化合物のオリジナル構造であるイミン構造をアミド構造へと変換することで活性が上昇することを明らかとした。以上の部分構造の修飾から得られた知見を考慮して分子の最適化を行ったところ、数十mM程度の濃度でミトコンドリア保護作用を示す低分子化合物の創製に成功した。既にミトコンドリア保護作用が知られているシクロスポリンAは数mM程度の濃度で活性を示すため、活性面では課題は残るが、シクロスポリンAと比べて大幅に分子量の低減に成功したことは注目できる成果と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題では「虚血性神経細胞・心筋細胞死の抑制化合物の開発」と「抗HCV剤の開発」という、大きく2つのテーマを掲げている。この2つのテーマのうち、一年目では虚血性細胞死抑制活性を示す化合物を見出すことに成功し、その構造活性相関に関する論文を創薬系の国際誌に掲載するまで至ることができた。すなわち、2か年計画を予定している1年目において課題の半分に対して成果を示すことができたことから、おおむね順調に研究が進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
一年目では虚血性細胞死抑制化合物の開発を主として研究を行ってきたが、二年目である本年度の前半は抗HCV剤の開発を主に行う予定である。本課題では二つのテーマを設けているが、これら二つが標的としているターゲットは異性化酵素であるので片方の課題で成果が得られれば、もう一方でも研究レベルでの成果を得ることができる可能性は高い。従がって、年度前半で前年度の知見を活かして抗HCV剤の開発を行う予定である。これと並行して前年度のターゲットを確定させる研究も行う予定である。年度後半では一年目と二年目で得られた結果についてまとめる必要があるので、必要に応じたデータ収集を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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