2012 Fiscal Year Research-status Report
Pseudomonas K-62の新規水銀耐性遺伝子の機能解析および浄化への利用
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24790128
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
曽根 有香 北里大学, 薬学部, 助教 (60550035)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 水銀耐性遺伝子 / Pseudomonas K-62 / 水銀浄化 |
Research Abstract |
水銀化合物は工業産物や農薬に利用されてきた一方で、世界各地において環境汚染が問題となっている。そこで筆者は、酢酸フェニル水銀汚染土壌から単離された水銀耐性菌Pseudomonas K-62中の極めて強い水銀耐性能を有する68-kb plasmid (pMR68)に着目した。これまでの研究で、筆者はpMR68の全塩基配列の解析を行い、既知の水銀耐性遺伝子と相同性の高いmerオペロンを有することを明らかにした。本年度はこの水銀耐性遺伝子の機能を解析することに焦点を合わせ、以下の結果を得た。 P. K-62から抽出したpMR68上のmerオペロン(merR-o/p-orf1-orf2-merT1-merP1-merF-merA-merB)をLong PCRにより増幅し、pUC118ベクターへ組換えたプラスミドpMKY12を作製した。次にpMKY12を大腸菌に形質転換した菌株の水銀化合物耐性および代謝活性について評価を行った。その結果、pMKY12をもつ菌株においては、対照株に比べて有機水銀、無機水銀に対する耐性がそれぞれ有意に上昇した。pMKY12をもつ菌の水銀浄化活性を調べたところ、対照株に比べて培養液中に残存する有機水銀、無機水銀量がそれぞれ有意に減少することが確認された。本年度の成果から、来年度は各水銀耐性遺伝子をより詳細に解析するため、merオペロン中の遺伝子を部分的に組換えたプラスミドの作製に着手した。 本研究は、水銀汚染土壌の浄化に繋がるバイオレメディエーション技術開発の礎として役立つと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に記載した研究計画のうち、平成24年度の計画は以下の通りである。①pMR68 plasmidの単離・精製、②mer operonの大腸菌へのクローニング、③pMR68の産物同定、④mer operon中の各種構成遺伝子の大腸菌へのクローニング。このうち①②④は平成24年度内に完了している。また、平成25年度の研究計画に挙げていた⑤水銀化合物耐性評価および⑥水銀代謝活性の検討についても一部行った。以上のことから、当該年度分の研究計画はおおむね順調に遂行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、merオペロン中の各水銀耐性遺伝子を部分的に組換えたプラスミドを作製している。作製した組換え体を用いて、水銀耐性評価および水銀代謝活性を評価する。また、水銀代謝酵素を持たない組換え体に関しては、水銀取り込み活性についての検討が可能と考えられる。これらの検討により、orf1-2遺伝子の機能を明らかにしたい。また、pMR68の産物同定に関しては、上記組換え体を用いてMaxi cell法にて検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、引き続き研究推進に必要な試薬(培地、緩衝液、制限酵等)、器具(ピペットマン、ガラス器具等)、消耗品(シャーレ、チューブ、チップ等)を主に購入する予定である。また、英語論文校閲・投稿など研究成果の発表に必要な経費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)