2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790129
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
中南 秀将 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (20548515)
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Keywords | tryptophan代謝物質 / MIC / Chequerboard titrations法 / FIC index |
Research Abstract |
平成25年度は、tryptophan(Trp)代謝物質の抗菌活性機序について研究した。 (1)Trp代謝物質の抗菌活性の測定:MRSAに対するTrp代謝物質の抗菌活性は、最小発育阻止濃度(MIC)から判定した。Trp代謝物質としてL-kynurenine、3-hydroxy-DL-kynurenine、anthranilic acid、3-hydroxyanthranilic acid、quinolinic acid、およびα-picolinic acidを使用した。 (2)Chequerboard titrations法によるTrp代謝物質の相乗効果の測定:Trp代謝物質同士の相加相乗効果について、fractional inhibitory concentration(FIC)indexを算出し、判定した。 (3)Trp代謝物質の細胞侵入性の研究:細胞侵入性はgentamicin protection assayを改良して測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種Trp代謝物質の抗微生物活性を微量液体希釈法により測定した結果、MRSAに対するMICは、3-hydroxy-DL-kynurenineが256μg/mlであり、その他のTrp代謝物質は≧1024μg/mlであった。したがって、Trp代謝物質のうち、3-hydroxy-DL-kynurenineの抗MRSA活性が高いことが明らかとなった。 Chequerboard titrations法によりTrp代謝物質の相乗効果を測定するために、MICが最も低かった3-hydroxy-DL-kynurenineとその他のTrp代謝物質の2剤を組み合わせたMICを測定し、FIC indexを算出した。その結果、α-picolinic acidはFIC index >0.5であり相加効果が認められた。しかし、その他L-kynurenine、anthranilic acid、3-hydroxyanthranilic acidおよびquinolinic acidについてはFIC index >1であり、不関であった。 Trp代謝物質のMRSAに対する細胞内侵入抑制効果について研究した。その結果、各種Trp代謝物質のうち、高濃度(1000μg/ml)の3-hydroxy-DL-kynurenine(P<0.0001)およびα-picolinic acid(P<0.0001)において、MRSAの細胞侵入抑制効果が認められた。そこで、MRSAに対するMICが最も低かった3-hydroxy-DL-kynurenineと他のTrp代謝物質との2剤をそれぞれ低濃度(100μg/ml)で組み合わせ、細胞侵入試験を行った。その結果、anthranilic acid(P=0.012)、3-hydroxyanthranilic acid(P<0.0001)、およびα-picolinic acid(P<0.0001)との組み合わせにおいて、MRSAの細胞侵入抑制効果が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、組織保存のための新規抗菌薬カクテルについて研究する。 (1)使用する菌株:菌株は、摘出組織汚染で特に問題となるEscherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Burkholderia cepacia、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、Bacillus subtilis、Klebsiella pneumonia、Acinetobactor baumannii、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus aureus、MRSA、Enterococcus faecalis、Streptococcus pyogenes、Propionibacterium acnesを使用する。 (2)使用する薬剤:β-ラクタム系抗菌薬、カルバペネム系抗菌薬、グリコペプチド抗菌薬、アミノグリコシド系抗菌薬、マクロライド系抗菌薬、リンコマイシン系抗菌薬、テトラサイクリン系抗菌薬、ニューキノロン抗菌薬、ポリペプチド系抗菌薬、サルファ剤を用いる。 (3)抗菌薬の組合せの検討:抗菌薬の各菌種に対する抗微生物活性をMIC、最小殺菌濃度(MBC)から判定する。さらに、抗菌薬同士の相加相乗効果について、FIC index、fractional bactericidal concentration (FBC) indexを算出し、判定する。 (4)抗菌薬カクテルの殺菌作用の測定:抗菌薬カクテルを含有した細胞培養溶液に菌液を接種し、4℃で24時間浸漬する。浸漬後、寒天培地に塗布し、35℃、24時間培養し、殺菌作用を測定する。
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