2013 Fiscal Year Annual Research Report
炭素ナノ粒子の妊娠期曝露による母子免疫系のエピジェネティックな変化に関する研究
Project/Area Number |
24790130
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
梅澤 雅和 東京理科大学, 薬学部, 助教 (60615277)
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Keywords | ナノ粒子 / 妊娠期曝露 / カーボンブラック / 脾臓 / リスク・コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究により、カーボンブラックナノ粒子(95μg/kg体重×2回)による次世代免疫系への影響は、妊娠前~中期の曝露では新生児マウスに抑制的(脾臓T細胞の減少)に現れるのに対し、妊娠中~後期の曝露では亢進もしくはアレルギー惹起の方向(脾臓T細胞の増加)に現れることが明らかになった。しかし、妊娠前期(着床直後)、中期(器官形成期)、後期(胎児成長期)のいずれかの期間のみの曝露では、総曝露量が同程度であっても比較的影響が微弱であった。ただし、器官形成期のカーボンブラック曝露による次世代(新生児期)免疫系への影響は、他の時期の曝露による影響と比較と比べると大きかった。 また、同様の方法で二酸化チタンナノ粒子の妊娠期曝露による次世代(新生児期)免疫系への影響を検証した結果、95μg/kg体重×2回のカーボンブラックナノ粒子投与で生じた影響は8mg/kg体重×2回の二酸化チタンナノ粒子投与でも認められなかった。この結果は、二酸化チタンナノ粒子の妊娠期曝露による次世代・新生児期免疫系への影響は、カーボンブラックナノ粒子と比較すると非常に弱い可能性を示唆している。 本研究において、マイクロRNAを中心としたエピジェネティクス解析を行ったが、エピジェネティックな機構が影響発現機序に関わることを示す結果は得られなかった。しかし、本研究の成果は、エピジェネティクス以外の観点からナノ粒子による次世代免疫系への影響発現機序を示唆する内容が多く含まれておる。今後の研究により、それらを標的にしたナノ粒子のリスク回避(予防・治療)の方法が見出されると期待される。さらに、本研究の一連の遂行の中で、大気中ナノ粒子のリスクの実際的かつ効果的な回避策を実現するためのリスク・コミュニケーションのあり方についても検討を行った。これも社会における平時・有事のナノ粒子のリスク回避を強くサポートすることが期待される。
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