2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790138
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 正紀 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70431319)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 薬剤性筋障害 / 乳酸トランスポーター |
Research Abstract |
日本人の死因の30%を占める動脈硬化性疾患の予防および進展を阻止する上で運動および薬物療法は極めて重要である。しかしながら運動刺激は薬剤性の筋障害を増悪させ、薬物治療の継続を困難とさせることから薬剤性筋障害の回避方法の確立は急務である。そこで申請者は運動時に産生が亢進する乳酸と乳酸輸送担体(MCT)に着目し、薬剤性筋障害との関連を明らかにすることで薬剤性筋障害の回避に展開するための研究基盤の確立を目的とした。当該年度においてはスタチン由来の筋障害とMCT発現・乳酸量との関連性を分子レベルで明らかにすべくMCT1.4強制発現株の作成とノックダウン条件の確立を試みた。その結果、MCT1および4強制発現株において基質である乳酸取り込みは10-20倍の取り込み活性の増大を示し発現株の樹立に成功した。またMCTノックダウンについては、骨格筋由来細胞であるRD細胞へのMCT4 siRNAの導入によりMCT4 mRNAおよびタンパク質レベルでの顕著な減少を認めノックダウン条件を確立した。現在これらの条件下におけるスタチンの筋障害を評価すべく骨格筋細胞へのスタチン処理の条件について検討を行い、その成果について報告した(Kobayashi et al., Yakugaku Zasshi 2012)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットでの検討が予定した条件で進めることが困難だったため、MCT強制発現株の作成およびノックダウン条件の確立を優先的に進めることとした。その結果、研究実績の概要に示した通りMCT1および4の強制発現株ならびにMCT4ノックダウン細胞の樹立に成功した。今後はこれらの細胞を用いて検討を進めるとともにラットを用いた実験については条件を再設定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで確立したMCT1、4を一過性に強制発現させた細胞およびsiRNAによりMCTをノックダウンした細胞を用いてスタチン処理による筋細胞障害を解析しMCT発現量と障害性との関連を明確にする。その後、薬剤性筋障害の回避方法の探索を目的に乳酸産生の調節を担うクエン酸・オキサミン酸およびMCTを阻害する物質を併用し筋障害への効果を検証する。さらに薬剤性筋障害のモデルとしてスタチン投与による筋障害ラットを作成し、異なる強度の運動負荷が及ぼす筋障害への影響を検討する。また薬剤性筋障害の評価と並行して血中乳酸量および骨格筋のMCT1および4の発現を解析し、筋障害との関連を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度において計画通りに検討が進まなかったため、残額が生じている。翌年度分の助成金と合わせた経費の主要な用途は消耗品であり培地・ウシ血清などの細胞培養関連、抗体などの試薬類の購入である。
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