2013 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体PXRの新規生理機能:免疫メンテナンスの解明
Project/Area Number |
24790142
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
児玉 進 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20621460)
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Keywords | 核内受容体 / 異物応答 / 免疫系 / 細胞シグナル |
Research Abstract |
核内受容体PXRは、肝臓と腸管の主要な生理機能の調節を担う低分子応答性転写因子である。近年、PXR機能の喪失・異常と免疫系の活性亢進及び炎症性疾患との関連やPXRの活性化に伴う炎症軽減作用が報告され、新たに免疫系調節への関与が注目されている。本研究では、PXRによる免疫系調節の作用機序を明らかにすることを目的にコンカナバリンA(Con A)誘発性肝障害マウスモデルを用いて解析した。 前年度、PXR機能の欠損によってマウスのCon A誘発性肝障害に対する感受性が高まることを見出した。また、野生型マウスにげっ歯類PXR活性化物質PCNを前投与した場合、Con A投与9時間後での肝細胞壊死の軽減及び炎症関連遺伝子群のmRNA発現上昇の抑制が認められ、それらは血中ALT値の改善と相関することを見出した。さらに、PCN前投与によってCon A投与3時間後の肝臓では複数のケモカインmRNAの発現上昇及び好中球浸潤が抑制されることを見出した。 本年度は、Con A投与後に惹起された免疫反応へのPXRによる抑制作用の標的分子の選定を目的にCon A単独及びPCN/Con A併投与条件下、野生型マウスの肝臓での炎症関連遺伝子群の発現変動を経時的に解析した。その結果、PCN前投与はCon A投与後早期の複数のケモカインのmRNA発現上昇を抑えるが、主な炎症性サイトカイン群のmRNA発現上昇には差異が認められなかった。また、PXRが免疫調節作用を示す細胞の同定を目的に、フローサイトメトリーを用いてCon A投与後の肝臓の各種免疫細胞の活性化を細胞表面抗原の発現を指標に解析したが、用いた項目・条件ではPCN前投与による差異は認められなかった。 以上の結果より、PXRはCon A投与後に惹起されるケモカイン群の発現を抑えて肝臓組織への好中球浸潤を抑制し、肝障害を軽減する可能性があることが示された。
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