2012 Fiscal Year Research-status Report
神経活動依存的な血液脳関門PGE2排出輸送機構変動とその分子的要因解明
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24790148
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
赤沼 伸乙 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (30467089)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | PGE2 / 血液脳関門 / グルタミン酸 / プロスタグランジン / 神経伝達物質 / 有機アニオン輸送担体 / クリアランス / グルタミン酸受容体 |
Research Abstract |
本研究は申請者独自の仮説「神経活動が血液脳関門(BBB)におけるプロスタグランジンE2(PGE2)排出輸送を変動させ、脳内PGE2介在作用を調節する」の実証を目的としている。近年、脳内神経伝達物質濃度の恒常性維持破綻は様々な神経疾患の発症・進行に関与することが明らかにされている。神経細胞死を伴う中枢神経系疾患の発症・進行に関与する興奮性神経伝達L-グルタミン酸(L-Glu)の神経細胞での過剰放出は、脳内PGE2濃度を上昇させることが報告されている。初年度は、in vivoラットBBBを介したPGE2排出輸送特性を検証すると共に、そのPGE2排出輸送がL-Gluによってどのような影響を検証した。 ラットBBBを介したPGE2排出、申請者が過去に明らかにしたマウスにおけるPGE2排出輸送と同様に有機アニオン性輸送担体を介し排出されることが示された。速度論的解析から、BBBを介したPGE2排出クリアランスは、循環血液中から脳へのPGE2移行クリアランスと比較し2倍高値であることから、脳内PGE2濃度制御へのBBBを介したPGE2排出輸送の重要性が示唆された。ラットBBBを介したPGE2排出輸送は高濃度L-Gluの大脳皮質への投与によって30%低下した。また、PGE2排出の低下はNMDA型グルタミン酸受容体拮抗薬処理によって回復した。さらに、BBBを介したPGE2排出輸送はNMDA受容体活性化条件(N-methyl-D-aspartateとD-serineの前投与)において低下し、代謝型グルタミン酸受容体活性化条件においては変化が示されなかった。以上の結果から、L-GluはBBBを介したPGE2排出輸送を低下させることが示され、その過程へのNMDA受容体の関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究初年度に計画していたin vivo血液脳関門PGE2排出輸送への関与分子実体は示唆された。次年度には、その過程に寄与する分子決定を試みる予定であり、それによって本研究計画は達成される。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivo解析法については、問題なく実施出来ている。分子実体と決定するにあたり、マウス/ラット単離脳血管などのin vitroツールを用いて、研究を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度において、研究計画は問題なく進んでいたが、必要最小限の試薬等の購入に抑えたため、次年度使用額が発生した。本研究費は平成25年度研究費と合わせ、主に消耗品にて使用するほか、10th international conference on cerebral vascular biology (モントリオール、カナダ)などにて研究成果を発表するための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)