2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経活動依存的な血液脳関門PGE2排出輸送機構変動とその分子的要因解明
Project/Area Number |
24790148
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
赤沼 伸乙 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (30467089)
|
Keywords | PGE2 / 血液脳関門 / グルタミン酸 / プロスタグランジン / 神経伝達物質 / 有機アニオン輸送担体 / クリアランス / グルタミン酸受容体 |
Research Abstract |
本研究は「神経活動が血液脳関門(BBB)におけるプロスタグランジンE2(PGE2)排出輸送を変動させ、脳内PGE2介在作用を調節する」ことを検証することを目的としている。神経細胞死を伴う中枢神経系疾患の発症・進行に関与する興奮性神経伝達物質L-グルタミン酸(L-Glu)は、脳内PGE2濃度を上昇させることが報告されている。平成24年度の検討結果において、L-Glu及びN-methyl-D-aspartate(NMDA)型L-Glu受容体作動薬であるNMDAのラット大脳皮質への投与はBBBを介したPGE2排出輸送を減弱させることを明らかにした。そこで、平成25年度はこのPGE2排出輸送減弱を正常化させる戦略構築を目的とした解析を実施した。初めにNMDA型L-Glu受容体拮抗薬について、競合的拮抗薬であるD-AP5及び非競合的拮抗薬であるMK-801を大脳皮質投与時にそれぞれ共存させた結果、L-Glu単独投与時において示されたPGE2排出減弱効果は観察されなかった。NMDA受容体活性化は細胞内カルシウムイオン濃度上昇を誘発する。そこで、細胞内カルシウムイオンキレーターであるBAPTA-AMを用いて排出への影響を検証した結果、L-Glu投与液へのBAPTA-AM共存によってもPGE2排出減弱効果は観察されなかった。従って、大脳皮質内過剰L-GluによるBBBを介したPGE2排出減弱はNMDA受容体及びその下流のシグナル経路を阻害することによって正常化することが示唆された。脳内においてL-Glu蓄積や過剰L-Glu介在シグナルが観察されるようなてんかんや各種神経変性疾患時において観察される脳内PGE2蓄積を正常化することを考える上で本知見は有用である可能性があり、今後これら疾患のモデルを用いた解析を実施することでその有用性が実証されることが期待される。
|
Research Products
(6 results)