2013 Fiscal Year Research-status Report
BMI変動による薬物動態個人間変動の解明と臨床応用
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24790149
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
澤本 一樹 金沢大学, 大学病院, 助教 (80608696)
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Keywords | 肥満 / BMI / 個別化医療 / タクロリムス / シクロスポリン / 薬物動態変動 / トランスポーター / 投与設計 |
Research Abstract |
遺伝的肥満ラットである雄性Zuckerラットとその対照群にタクロリムスを経口投与したところ、肥満群では対照群と比較してタクロリムス血中濃度は高く推移した。次に、血中濃度推移より速度論的解析を行い、薬物動態パラメーターを算出したところ体重あたりの経口クリアランスは対照群と比較して肥満群で低下した。また、個体あたりの経口クリアランスについては肥満群で低下傾向にあった。静脈内投与時の結果と合わせて、バイオアベイラビリティーを算出したところ対照群と比較して肥満群においてバイオアベイラビリティーの上昇を認めた。肝臓および小腸のトランスポーター、薬物代謝酵素のタンパク発現を検討したところ、肥満群では肝臓Cyp3a2のタンパク発現レベルは低下し、小腸ではP-gpの発現低下を認めた。よって、男性の肥満患者でタクロリムスのC/D比が上昇した一つの要因としてバイオアベイラビリティーの上昇が関与する可能性が考えられた。 続いて、遺伝的肥満ラットである雄性Zuckerラットとその対照群にフェンタニルを静脈内投与したところ、AUCに両群間で差を認めなかった。一方で、フェンタニルを経皮投与した場合、肥満群では対照群と比較してAUCは増大し、経皮吸収製剤中のフェンタニル残存率も低下した。また皮膚中のCyp3a2 mRNA発現レベルを検討したところ、肥満群で低下していた。経皮アベイラビリティーを算出したところ、肥満群で上昇を認めた。申請者らの予備的な検討で、BMI高値の患者では低値の患者と比較してより低用量で除痛が得られる傾向が見られたが、その要因としては肥満状態では経皮投与時のフェンタニル体内暴露量が変動する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の研究実施計画内容であった「肥満ラットを用いたタクロリムスの体内動態変動要因の解析」と「肥満状態におけるトランスポーターおよび薬物代謝酵素の発現変動解析」については平成25年度までに概ね実施することができた。また、「肥満モデルラットにおけるフェンタニル血中動態変動の解析」についても概ね実施することができた。「BMIとフェンタニル薬物動態のヒト試験」については、現在測定系の軽微な見直しを行っており、検体の測定および解析がやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
「肥満ラットを用いたタクロリムスおよびシクロスポリンの体内動態変動要因の解析」については、小腸Ussing Chamber法を用いて、肥満状態におけるタクロリムスおよびシクロスポリンの消化管吸収に与える影響を評価する予定である。また、「BMIとフェンタニル薬物動態のヒト試験」については、血液サンプルおよび尿サンプルが集まりつつあるので、随時測定し解析を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
効率的な予算執行により端数が生じた。そのため次年度に使用することとなった。 当初の予定通り動物実験を引き続き行うため、ラットの購入等に使用する予定である。
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