2012 Fiscal Year Research-status Report
医療現場における抗がん剤曝露の現状調査と標準予防策の有用性評価
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24790152
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 真一郎 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60452398)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 職業性曝露 / 抗がん剤 / LC-MS/MS / 多成分同時分析 |
Research Abstract |
医療現場における職業性曝露については、主として電離放射線などによる物理的な曝露・ウイルスなどによる生物学的な曝露・医薬品や化学物質による化学的な曝露が想定される。一般に、職業性曝露に対する調査は外部曝露調査・内部曝露調査・細胞レベルでの影響調査・個体レベルでの影響調査の4つに大別され、それぞれ対象物質との因果関係や人体への直接的な影響の大きさが異なる 。 本研究は、医療現場における主要な職業性曝露の一つである注射用抗がん剤の混合調製時における化学的曝露の現状を包括的に調査することで、現在その曝露対策として策定されている標準予防策の有用性を検証し、評価することを目的とした。 平成24年度は、臨床で汎用される多系統複数抗がん剤を対象とした外部曝露・内部曝露調査方法を確立するために、簡便な外部曝露調査方法の確立と実施、血液や尿を検体とした内部曝露調査方法の確立を研究計画とし、以下の成果を得た。 1) 5系統10薬剤の抗がん剤を対象とした簡便な同時定量法を開発するとともに、その定量法のバリデーションを行い、低濃度域まで幅広い線形性を有し、安定して定量が可能であることを見出した。2) 本定量法を用いて作業台及びその周辺の汚染を調べる外部曝露調査を実施し、調製時の手技や薬剤の揮発が主な外部曝露の原因である可能性を見出した。3) 薬剤の揮発と外部曝露の関係を詳細に調べる目的で、石英フィルタやODSフィルタを用いた揮発性調査を行う事とし、一部の薬剤が揮発性を有している事を見出した。4) 血液や尿を検体とした内部曝露調査を実施するために、抗がん剤の未変化体のみでなくその主要代謝物の同時定量法について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、臨床で汎用される多系統複数抗がん剤を対象とした外部曝露・内部曝露調査方法を確立するために、簡便な外部曝露調査方法の確立と実施、血液や尿を検体とした内部曝露調査方法の確立を研究計画とした。 外部曝露調査については、当初予定していた作業台及びその周辺の汚染を調べる拭き取り調査を実施するなかで、薬剤の揮発がその原因の一部になっている可能性に着目し、石英フィルタやODSフィルタを用いた薬剤の揮発性調査を実施した。その結果、一部の薬剤が揮発性を有しているという新たな知見を見出した。 一方、内部曝露調査については、当初予定していた各抗がん剤の未変化体による調査に加えて、それらの主要代謝物の同時定量法について検討することとした。 このように外部曝露調査・内部曝露調査ともに当初計画以上に研究の全体像が拡大したが、全体としておおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、当初予定通りの計画に加え、平成24年度に実施し、当初計画以上に全体像が拡大した外部曝露調査・内部曝露調査についての研究を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に大きな変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(3 results)