2012 Fiscal Year Research-status Report
NSAIDsの服用による食物アレルゲンの吸収増加機構の解明
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24790157
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
横大路 智治 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 助教 (70389120)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 食物アレルゲン / NSAIDs / 消化管吸収 |
Research Abstract |
H24年度は食物アレルゲンのモデルとしてリゾチームを用い、その消化管吸収特性とリゾチームの消化管吸収におよぼすNSAIDsの影響についてラットで検討した。ラットの消化管にFITC-リゾチームを投与した場合、消化管上部におけるFITC-リゾチームの吸収速度はFD-10に比べて有意に高く、コルヒチン処置により有意な低下を示した。一方、消化管下部におけるFITC-リゾチームの吸収速度は、FD-10と同程度であり、コルヒチン処置による有意な影響は認められなかった。これらの結果より、リゾチームの消化吸収には部位差が存在し、上部での吸収には一部エンドサイトーシスが関与すると考えられた。一方、アスピリンを併用した場合、消化管の上部および下部におけるFITC-リゾチームの吸収は有意な増加を示したが、消化管組織内濃度に対する有意な影響は認められなかった。さらに、細胞間隙輸送のマーカーであるFD-10の吸収もリゾチームと同様に、アスピリン処置により有意な増加を示した。したがって、アスピリンはリゾチームの細胞間隙輸送を増加させることにより、その消化管吸収を増加させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的であった食物アレルゲンであるリゾチームの消化管吸収機構とアスピリンによる吸収増加機構の解明についての検討はおおむね順調に遂行できている。今後、小麦アレルゲンであるグリアジンを用いて、これらの検討を行うとともに、アスピリン以外のNSAIDsの影響についても合わせて検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度はFITC-リゾチームの消化管吸収におよぼす各種NSAIDsの影響について検討するとともに、小麦アレルゲンであるグリアジンの消化管吸収特性とその消化管吸収に及ぼすNSAIDsの影響についても検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度では、実験動物や試薬などの消耗品に関する経費、および研究成果のまとめとして学会発表や論文作成に関する経費として研究費を使用する予定である。
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