2013 Fiscal Year Research-status Report
高尿酸血症治療薬のレドックス解析とCKD・CVDに対する抗酸化治療への応用
Project/Area Number |
24790160
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
門脇 大介 熊本大学, 薬学部, 准教授 (70433000)
|
Keywords | 高尿酸血症 / ベンズブロマロン / 酸化ストレス / 高血圧 / アンジオテンシン |
Research Abstract |
高尿酸血症は生活習慣病やメタボリックシンドロームと係りが深く,尿酸から惹起される酸化ストレスの誘発を発端とし,レニンアンジオテンシン系を活性化することで,慢性腎臓病 (CKD) や心血管疾患 (CVD) の発症および進展に重要である。そのため,酸化ストレスの軽減は重要であり,我々は高尿酸血症治療薬であるベンズブロマロンがin vitroにおいて直接的なラジカル消去能を有することを前年度において見出している。そこで,本年度はin vivoにおけるベンズブロマロンの抗酸化作用を評価することを目的に,アンジオテンシンIIと食塩の負荷による高血圧モデルラットを作製することで酸化ストレスを誘発させ,このモデルに対してベンズブロマロンの4週間連日経口投与を行った。その結果,ベンズブロマロンの投与は血圧および尿酸値に影響を与えないものの,血液中の酸化ストレスマーカーである蛋白質過酸化物を有意に低下させ、さらに尿中酸化ストレスマーカーである尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシンの減少傾向を示した。また,腎組織における酸化ストレスをデヒドロエチジウム染色により評価したところ,酸化ストレスの抑制が示され,生体内でも直接的な抗酸化作用を発揮することが明らかとなった。尿酸トランスポーター阻害作用に加え直接的な抗酸化作用を有することで,今後ベンズブロマロンはCKD・CVDの予防に有用なマルチな抗酸化剤となる可能性が期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はin vivoにおけるベンズブロマロンの抗酸化作用を評価することを目的に動物実験を行い,一定の成果を得た。しかしながら,CKD・CVDに対する抗酸化治療への応用を考えた場合には,既存治療薬との併用療法などの検討が満足のいくところまでは到達できてないと考えており,次年度の検討課題であるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度は高血圧モデルによる抗酸化作用を評価しベンズブロマロンのin vivoにおける有効性が見いだされた。そこで,今後は,腎不全モデルによる動物実験を行い,ベンズブロマロンの腎保護効果の有無および抗酸化作用との関連性について,より詳細に解析を行う。また,in vtroにおいても細胞実験を行いベンズブロマロンの抗酸化作用のメカニズムについても解析できればと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は,動物実験を中心とし効率的に研究が遂行できたものの,研究計画の軽微な変更が生じたため,来年度以降に持ち越した。 来年度は動物実験に加え細胞実験を計画しており,試薬などの物品費とともに,成果報告のため学会発表および論文投稿を行うため,その費用に充当する予定である。
|
Research Products
(3 results)