2012 Fiscal Year Research-status Report
院内製剤化を目指した毛包脂腺系デリバリーのための新規ナノキャリアの開発
Project/Area Number |
24790163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
内野 智信 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (40345228)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ベシクル / 経皮吸収 / 毛包 |
Research Abstract |
申請時の研究計画では、平成24年度は毛包脂腺系へのデリバリー用の薬物封入ナノパーティクルの処方構築を主たる目的としていた。これまでに、医薬品あるいは化粧品添加剤として認可された添加剤を用いた2重膜のベシクルの調製に成功しており、いくつかの薬剤をそれらの薬剤の飽和溶解度以上に封入することにも成功した。封入した薬物の分子状態の評価もすでに終了しており、封入された薬物はベシクルの二重層内でベシクルの成分と相互作用していること、その分子運動性は溶液と比べると著しく抑制されていることも明らかとなっている。 また、取得した科研費で薬物の経皮吸収を効率的に評価できるようインラインセルも購入し、このインラインセルを用いて封入薬物の経皮吸収性評価を行ったところ、薬物水溶液単独よりも著しい経皮吸収改善が認められている。 また、このベシクルに毛包脂腺系が作用部位であるノビレチンの封入にも成功し、水溶液中には2ng/mL程度しか溶解しないノビレチンを1mg/mLと高濃度に封入することを可能にしている。現在このノビレチン封入ベシクルの経皮吸収性評価をユカタンマイクロピッグの皮膚を用いて行っている段階であるが、プレリミナリ―な結果では、ノビレチン水溶液よりも経皮吸収性が改善されている結果が得られているが、【現在までの達成度】欄に示したような問題点も出ていているため、当初の計画から修正を行いながら研究を遂行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請段階の研究計画では、平成24年度は ①毛包脂腺系デリバリーのための新規ナノキャリア調製・評価 ②薬物封入ナノキャリアの物性評価およびモデル薬物の毛包脂腺系移行性・皮膚透過性評価 を目的として研究を行う予定であった。現在、医薬品あるいは化粧品添加剤として認可された添加剤を用いたベシクルの調製には成功している。一方、②に関しても薬物封入ナノキャリアの物性評価が終了しており、現在はモデル薬剤の毛包脂腺系移行性・皮膚透過性評価を行っている段階である。 進捗が予定通りに遂行されなかった理由としては、毛包移行性評価に用いるモデル動物の皮膚の変更を行っている点があげられる。これまで使用してきたユカタンマイクロピッグの皮膚はすでに、米国でユカタンマイクロピッグと殺を皮膚摘出し凍結切片として輸入しているため、死後かなりの時間が経過しており、薬物の皮膚透過性全般を評価するためにはヒトの皮膚と類似するために適しているが、毛包という限局された組織の薬物の移行性をみるためには、毛包近辺が組織レベルで生存していた方がより薬物の移行性を的確に評価できる可能性がある。そこで、現在ヘアレスラットの摘出皮膚を用いてモデル薬物の毛包移行実験を行っている。今後ヘアレスラットの皮膚を用いて計画書の薬物封入ナノキャリアの毛包脂腺系移行性・皮膚透過性評価を遂行していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書の計画書欄にあるように、本年度は薬物封入ベシクルのモデル薬物(ノビレチン)およびベシクルの毛包脂腺系移行性・皮膚透過性評価を計画している。上記で示したように、毛包移行性をヘアレスラットの摘出皮膚で行うこととし、計画書の通り蛍光標識されたノビレチンのベシクルに封入し皮膚透過実験を行った後、皮膚切片を作成し、共焦点レーザー顕微鏡で毛包脂腺系への移行性を視覚的に観察する。また、フルオレセイン結合リン脂質をマーカとしてナノキャリアに封入し、YMP皮膚に適用後に皮膚切片を採取し、共焦点レーザー顕微鏡で観察し、ナノキャリア成分の毛包脂腺系移行性についての視覚的情報を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の残金は、効率的に研究費を使用したために生じたものである。この残額に関しては、次年度の消耗品購入時に使用する予定である。
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