2013 Fiscal Year Research-status Report
院内製剤化を目指した毛包脂腺系デリバリーのための新規ナノキャリアの開発
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24790163
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
内野 智信 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (40345228)
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Keywords | ベシクル / 経皮吸収 |
Research Abstract |
前年度までに、医薬品または化粧品添加剤として認可された添加剤を用いて処方設計を構築したベシクルに、皮脂排泄促進作用はあるが、水溶液中に2 ng/mLしか溶解しないノビレチンを1mg/mLまで溶解させた製剤の調製に成功していた。 今年度は、まずベシクル中のノビレチンの分子状態評価および製剤評価を行った。その結果、ノビレチンはこれまでにベシクルに封入した薬物と同様ベシクルの二重層内に存在していること、またその運動性は溶液と比べて著しく低下していることを1H-NMRより明らかにした。また、調製した製剤は室温で2週間は安定であった。次に、ベシクルに封入したノビレチンの皮膚透過性を評価したところ、ノビレチンの皮膚透過性は溶液状態と比べると著しく向上することやリン脂質を用いたリポソーム製剤よりも糖エステルを用いたベシクルにノビレチンを封入した方がノビレチンの皮膚透過性が向上することも見出した。 さらに、皮脂排泄促進効果を持つノビレチンの毛包移行性についてwistar系雄性ラットにノビレチン封入ベシクルを一日一回適用し、皮脂排泄効果について評価したところ、ノビレチン非適用系と比較して皮脂排泄促進効果が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のように、医薬品または化粧品添加剤として認可された添加剤を用いた薬物封入ベシクルの調製に成功し、数種類の薬物においてベシクルに薬物を封入した場合未封入の系と比べて薬物の経皮吸収性の改善が認められた点、皮脂排泄促進効果のあるノビレチンをベシクルに封入し、ラットに適用した場合、皮脂排泄促進効果が認められた点は、おおむね当初の計画通りであった。 しかし、この動物実験の前段階として、実際ノビレチン(あるいは封入薬物)がどの程度毛包に移行したかを評価する予定であった。ところが、モデル動物の皮膚として当初使用していたユカタンマイクロピッグは、皮膚組成はヒト皮膚に類似しているものの、毛穴の数が少なかったため、ラット皮膚に変更し研究を遂行した。しかし、ラットの皮膚の性状がユカタンマイクロピッグと大きく異なり、処理や取り扱いに多大な時間を要し、薬物の毛包移行性についての正確な評価ができなかった。この点は当初の研究計画の通り進まなかったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回開発した薬品または化粧品添加剤として認可された添加剤を用いた薬物封入ベシクルは、薬物の皮膚透過性改善には有用なキャリアであることが示された。しかし、毛包移行性に関する正確な評価は引き続き検討する必要がある。今後、このベシクルの毛包移行性に関しては蛍光物質封入ベシクルを適切な動物に適用後にその皮膚を採取し、切片を作成後蛍光顕微鏡で観察することで評価していくなどの必要もあると思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ノビレチン封入ベシクルの毛包移行性の評価に当たり、動物種をブタからラットに変更したため、学会に発表できる段階までに至らなかった。 学会発表のための旅費に充当する予定である。
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