2013 Fiscal Year Research-status Report
コルチゾール11βーHSD2酵素活性と高血圧発症に関する研究
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24790172
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
横川 彰朋 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (70328558)
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Keywords | コルチゾール / コルチゾン / 11β-HSD / 本態性高血圧 / 腎疾患 |
Research Abstract |
近年,遠位尿細管や集合管の11β-hydroxysteroid dehydogenase 2 (11β-HSD2) 活性の低下が腎疾患患者の血圧上昇の原因となる可能性が指摘されている.11β-HSD2はcortisolを不活性なcortisoneへ変換することでミネラルコルチコイドレセプター (MR) へのcortisolの結合を回避しているが,その活性が低下すると過剰のcortisolがMRに結合し,高血圧や低カリウム血症を引き起こす.11β-HSD2活性が低下した患者は抗アルドステロン薬が高い降圧効果を示すとの報告があり,11β-HSD2活性を評価することは治療上重要となる.本研究では,申請者の研究室で開発された新しいヒトin vivo 11β-HSD2酵素活性評価法 (尿中コルチゾール濃度で補正した尿中コルチゾン/コルチゾール比) を用い,11β-HSD2酵素活性と血圧上昇との関連性の解明と11β-HSD2活性低下に起因する高血圧症患者の鑑別診断へ応用することを目指す. 平成25年度は,腎疾患患者を対象に「新しいヒトin vivo 11β-HSD2酵素活性評価法 (尿中コルチゾール濃度で補正した尿中コルチゾン/コルチゾール比)」を用いて11β-HSD2酵素活性を評価し,腎疾患時に発生する血圧上昇と11β-HSD2酵素活性の関連性を検討した.腎疾患患者70名の24時間蓄尿の尿中コルチゾール, コルチゾン濃度を測定し,11β-HSD2酵素活性を評価した.11β-HSD2活性と血圧を比較したところ11β-HSD2酵素活性が低下している患者で血圧が上昇している傾向にあった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標である腎疾患患者でのヒトin vivoでの 11β-HSD2酵素活性評価が行えた.従って,本年度の到達度としては,「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
現在11β-HSD2酵素活性評価には,尿中cortisone/cortisol比の他に,cortisolとcortisoneのA環還元代謝物の比 [尿中THE/(THF+alloTHF) 比] が用いられている.平成26年度では,平成25年度に尿中コルチゾール, コルチゾン濃度を測定した腎疾患患者70名の尿試料を対象に,尿中THE/(THF+alloTHF) 比を算出し,我々が開発した尿中コルチゾール濃度で補正した尿中コルチゾン/コルチゾール比との比較を行う.
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