2014 Fiscal Year Annual Research Report
長期中心静脈栄養による消化管萎縮時の薬物動態学的アセスメント
Project/Area Number |
24790178
|
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
福島 恵造 神戸学院大学, 薬学部, 助教 (30454474)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 薬物動態 / 消化管萎縮 / TPN / 吸収 / 薬物代謝 / バンコマイシン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24~26年度において、以下の課題を設定していた。【24年度】消化管萎縮時の薬物体内動態変動の規範的エビデンスの構築。【25年度】薬物体内動態変動の詳細なメカニズム解明および臨床使用が想定される薬物について基礎的検討。【26年度】臨床解析および消化管萎縮に対する方策に関する基礎的研究。 結果として、【24年度】水溶性化合物であるPhenol red (PSP)および脂溶性化合物であるCyclosporine (CyA)をTPNラットに静脈内投与した結果、PSPに関しては顕著な変化は認められなかったが、CyAに関して体内暴露が増大した。一方、小腸内投与後の吸収率は、PSPで約2倍に増加していたが、CyAでは顕著な変化は認められなかった。【25年度】薬物代謝酵素CYP3Aの発現量は、TPN処置で約20%にまで低下していた。また、非吸収性抗菌薬バンコマイシンの消化管吸収率は、消化管萎縮時において約3倍の上昇が観察された。【26年度】薬物排泄トランスポーターであるP糖タンパクおよび薬物代謝酵素CYPの特異的基質を用いて薬物動態変動を検討した結果、小腸ではCYPの活性/発現に大きな変化はなく、P糖タンパクの活性/発現上昇が示唆された。一方、肝臓ではCYPの活性/発現の著しい低下およびP糖タンパクの活性/発現低下が示唆された。 得られた知見を要約すると、①消化管萎縮時の薬物動態変動は、薬物の物性および薬物動態学的特性ならびに投与経路に依存。②水溶性化合物は吸収率が増大する可能性が高く、非吸収性薬剤であっても全身暴露が危惧される。③肝薬物代謝酵素の減少により、肝代謝型薬物の生体内暴露が増大する可能性がある。④TPNによる薬物排泄トランスポーターおよび薬物代謝酵素への影響は、小腸・肝臓では様式が異なり、投与薬剤の薬物動態学的特性を考慮した注意が必要である。 未報告課題は、現在継続中である。
|