2012 Fiscal Year Research-status Report
核内受容体PPARγを分子標的とする食品因子と医薬品の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
24790182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉田 裕樹 九州保健福祉大学, 薬学部, 講師 (90469411)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 核内受容体 / PPARγ / 食品 / 医薬品 / 相互作用 / ナリンゲニン / ピオグリタゾン / フラボノイド |
Research Abstract |
核内受容体PPARγを分子標的とする食品因子と医薬品の相互作用を検証するため、本年度は、PPARγ応答エレメントを導入した細胞を用いてレポーターアッセイを行い、PPARγの活性化を測定した。また、糖尿病モデルマウスを用いて病態改善効果を評価した。 レポーターアッセイでは9種類の食品成分、ナリンゲニン(Nar)、ヘスペレチン(Hes)、カテキン(Cat)、エピガロカテキンガレート(Epi)、ゲニステイン(Gen)、ダイゼイン(Dai)、クルクミン(Cur)、レスベラトロール(Res)、ノビレチン(Nob)用いて、単独あるいはPPARγ作動薬ピオグリタゾン(Pio)との併用時のPPARγ活性を測定した。その結果、Nar、Hes、Gen、Dai、Resをそれぞれ単独添加した場合、1~50μMの範囲でほぼ濃度依存的にPPARγを活性化した。ただし、Pio単独添加(0.5μM)と比較して、極めて低い活性化であった。一方、食品成分とPio(0.5μM)を併用した場合、Nar、Hes、Cat、Epi、Gen、Dai、Cur、Res(1~10μMの濃度範囲)は、PioによるPPARγ活性化を相加的・相乗的に増加させた。しかしながら、Nobは、PioによるPPARγ活性化を抑制した。 次に、Nar、Hes、Gen、Dai、Resを用いて、TSODマウス(糖尿病モデルマウス)におけるPioの病態改善効果(食後高血糖の改善)に対する影響を測定した。その結果、Gen、Dai、Resは、Pioの作用に影響を与えなかった。しかしながら、NarとHesは、Pioの作用を減弱させることを見出した。NarによるPioの作用減弱効果の真偽を確認するために、別の糖尿病モデルマウス(NSYマウス)を用いて同様の実験を行った。その結果、NSYマウスにおいてもNarは、Pioの作用を減弱させることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画は、レポーターアッセイを用いたin vitro実験と病態モデルマウスを用いたin vivo実験による評価を実施することであった。その達成度については、上記の概要に記した通り、おおむね順調に研究を実施することができたと考える。ただし、病態モデルマウスの血清生化学パラメーターの一部が未測定のため、早急に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果より、レポーターアッセイを用いたin vitro実験では、ナリンゲニン(Nar)などの食品因子とPPARγ作動薬ピオグリタゾン(Pio)の併用は、PPARγ活性を相乗的・相加的に増加させることを示した。しかしながら、病態モデルマウスを用いたin vivo実験では、NarとPioの併用によりPPARγ活性化が減弱された。 我々は、レポーターアッセイの結果から、病態モデルマウスを用いた評価においてもPioの作用が増強されることを期待したが、矛盾する結果が示された。この矛盾点を解明するために、次年度は、病態モデルマウスから採取した血清、脂肪組織、肝臓などを用いて、ケモカイン/サイトカインなどの病態関与因子の発現量変動を網羅的に解析する。また、PPARγの活性化制御機構を解析するために、培養細胞などを用いて、PPARγの発現量変動や翻訳後修飾に対する影響などを検証する。 本研究は、生化学的な視点から食品-医薬品相互作用の解析を行うことを目的としている。しかしながら、一般的な相互作用の機序を鑑みると、吸収・代謝などの薬物動態学パラメーターを解析することが、in vitroとin vivo実験の矛盾点を解明する上で重要である。以前に報告された研究において、ケルセチン(Narと構造的に非常に近いフラボノイド)とPioのラットへの併用投与は、薬物代謝酵素CYP3A阻害を介してPioの血中濃度を増加させた。したがって、我々の実験系でも、NarがPioの血中濃度を増加させる可能性が十分に考えられる。しかしながら、併用投与による医薬品の吸収や代謝過程に対する影響が血中濃度を減少させている可能性も完全には排除できない。そこで、本研究の病態モデルマウスから採取した血清中のPioおよびNar濃度をHPLCにより測定し、薬物動態学の視点からの相互作用についても検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
病態モデル動物、細胞培養用試薬、リアルタイムPCR用試薬、ELISA用試薬、ウエスタンブロット用試薬、抗体アレイ用試薬、培養用フラスコ、ピペット、チップ、HPLC用カラム、HPLC用溶媒などの物品購入費として90万円使用する。 また、研究成果を発表するために日本薬学会年会などの参加旅費として10万円使用する。
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Research Products
(11 results)