2014 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体PPARγを分子標的とする食品因子と医薬品の相互作用に関する研究
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24790182
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉田 裕樹 九州保健福祉大学, 薬学部, 講師 (90469411)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 核内受容体 / PPARγ / 食品 / 医薬品 / 相互作用 / ナリンゲニン / ピオグリタゾン / フラボノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、肥満関連疾患の発症・進展に深く関与しているアディポカインの発現量変動が、ナリンゲニンによるピオグリタゾンの病態改善効果(耐糖能異常の改善)の減弱化と相関するのか検証した。糖尿病モデルマウスの脂肪組織を用い、抗体アレイよりアディポカインの発現量を網羅的に解析した。その結果、ピオグリタゾンの単独投与は、CRP、MCP-1、M-CSFなどの炎症マーカーの発現量を低下させたが、ナリンゲニンの併用は、ピオグリタゾンによる炎症マーカーの発現量抑制効果を阻害した。これらの結果から、脂肪組織の炎症レベルと耐糖能異常が相関していることが示された。 次に、ナリンゲニンとピオグリタゾンの薬力学的(生化学的)な相互作用を解析するために、PPARγ活性化機構に対する影響を検証した。PPARγの活性化には、リガンド結合だけでなく、コファクターとの複合体形成(NcoR(コリプレッサー)の解離とCBP(コアクチベーター)の結合)が関与している。そこで、PPARγ-NcoRおよびPPARγ-CBPの複合体形成に対する影響を測定した。その結果、ナリンゲニンおよびピオグリタゾンは、濃度依存的にPPARγ-NcoR複合体の解離を促した。また、ナリンゲニンとピオグリタゾンの併用は、複合体の解離を増強した。一方、PPARγ-CBP複合体形成においては、ナリンゲニンとピオグリタゾンは、濃度依存的に複合体形成を促したが、併用では、高濃度域でわずかに複合体形成を阻害する結果が得られた。 本研究により、共にPPARγ活性化能を有する食品因子(ナリンゲニン)と糖尿病治療薬(ピオグリタゾン)を併用すると、予想に反して、薬力学的(生化学的)な相互作用により薬効を減弱させる可能性があることが示された。今後、より詳細な作用機構の解明を進めることは、疾患の予防・改善を目的とした食品因子の適正使用に繋がると考える。
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Research Products
(6 results)