2013 Fiscal Year Research-status Report
マウス生体由来多能性幹細胞(Muse細胞)の発生学的解析
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24790188
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
若尾 昌平 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80511948)
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Keywords | 多能性幹細胞 |
Research Abstract |
ヒト生体由来の多能性幹細胞であるMuse細胞は、浮遊培養を行うことで一細胞からES細胞由来の胚様体に良く似た、多能性幹細胞マーカーを発現する細胞塊を形成することが確認されている。これらヒト由来Muse細胞のマーカーにはSSEA-3を用いているが、これは糖脂質でありタンパクではないためにその遺伝子を有していない。そのためマウスMuse細胞が単離できたとしても、それらの細胞についての遺伝子改変動物の作製や発生学的解析が困難である。そこで本研究では、マウスMuse細胞の単離とSSEA-3に変わるマーカーについての探索を行ってきた。前年度の研究から候補となる遺伝子(Cripto-1)が得られたため、これらについてトランスジェニックマウスの作製を行った。前年度にインジェクションした受精卵からF1マウスは得られたが、GFP陽性のF1を得ることができなかったため、新たにインジェクションをし直したところ、GFP陽性のF1マウスが得られた。 一方で、SSEA-3によるマウスMuse細胞の単離も行ってきた。マウスの大腿骨から得られるbone marrowやcompact bone由来のMSCからSSEA-3陽性の細胞が、培養を経ることなく得られることが確認されている。さらに、これらの細胞における多能性幹細胞マーカーの遺伝子発現について解析を行ったところ、いずれもSSEA-3陽性細胞において多能性幹細胞マーカーの発現が高いことが確認された。 来年度は、作製したトランスジェニックマウスとSSEA-3陽性細胞について解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の終わりにBAC cloneをインジェクションした受精卵からF1マウスは得られたが、GFP陽性のF1マウスではなかったため、再度インジェクションを行う必要性があり時間のロスがあった。しかし、トランスジェニックマウスの解析の代わりにヒトMuse細胞のマーカーであるSSEA-3を用いた解析を進めることができた。またSSEA-3によるマウスMuse細胞の単離によって、SSEA-3陽性細胞においては多能性幹細胞マーカーの発現が高いことが確認されたことから、ヒトMuse細胞と同様の結果が得られたことに対しては今後の研究に繋がることであり、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針として、マウスの骨髄由来のSSEA-3陽性細胞は多能性幹細胞マーカーの発現が高く、ヒトMuse細胞と同様の性質を有していると推測される。そこで、作製したトランスジェニックマウスを使用してCripto-1-GFP陽性細胞が骨髄内に存在することを確認するとともに、これらの細胞についてSSEA-3が発現しているかを確認していく。また、このトランスジェニックマウスが使用できることが確認されれば、その得られる細胞についての特性解析を行っていく。また、トランスジェニックマウスを用いた発生学的な解析も可能になるため、こちらも同時に検討していく予定である。
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