2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790189
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邉 裕介 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (20562333)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 発生 / 神経堤細胞 |
Research Abstract |
Strawberry Notch1 (Sno1)はマウス胚発生期において、神経堤細胞と神経堤細胞に由来する組織で発現している。本年度は、Sno1の哺乳類神経堤細胞における機能を解析するために、Sno1の神経堤細胞特異的ノックアウトマウス(Sno1;Wnt1-Cre cKO)を作製し、その表現型解析を行なった。その結果、胎生10.5日目11.5日目では、Sno1;Wnt1-Cre cKOマウスでは神経堤細胞の発生直後からの細胞死のため、顔面部、鰓弓部の著しい低形成が観察された。インクインジェクションによって鰓弓動脈発生を観察した結果、鰓弓動脈の発生は遅延していた。また、Neurofilament染色による神経系の観察では、三叉神経節と末梢神経節が低形成となっていた。その後、Sno1;Wnt1-Cre cKOマウス胚は、胎生12.5日目で致死となった。 Sno1の機能の分子メカニズムを解明するために、システインクラスターを含むSno1-C末領域にHisタグを付加したものを精製し、磁性ナノビーズに結合した後に、胎生10.5日目胚から採取した細胞抽出液と反応させてSno1-C末領域と相互作用するタンパク質の同定を質量分析により解析した。同定されたタンパク質については、現在、共免疫沈降法によりSno1との結合を確認している。 Sno1はヘリカーゼドメインを含む核タンパク質であるため、遺伝子の転写制御における機能について、ルシフェラーゼアッセイを用いて解析した。その結果、Sno1は非常に高い転写活性化能を示すことが明らかとなり、転写の制御に関与していることが覗えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の計画として、① Sno1タンパク質の結合タンパク質を同定、② Sno1と結合タンパク質の生化学的活性の解析を掲げていた。 Sno1タンパク質の結合タンパク質を同定に関しては、計画どおり進行していると判断する。システインクラスターを含むSno1-C末領域に注目して、結合タンパク質の単離と同定を進めた。大腸菌にHisタグを付加したSno1-C末タンパク質を発現させて精製した後、磁性ナノビーズにHisタグ-Sno1-Cを結合させた後、胎生10.5日目胚からの細胞抽出液と反応させた。結合タンパク質を精製した後、質量分析にてタンパク質同定を行なった。以上の解析により幾つかのタンパク質を同定できた。現在は、同定タンパク質が共免疫沈降法によっても結合しているかどうかを確認中である。そのため、Sno1と結合タンパク質の生化学的活性の解析に関しては、まだ行なっていない段階である。 その一方、ルシフェラーゼアッセイを用いた解析から、Sno1が高い転写活性を示すことが明らかとなり、Sno1が転写活性化因子であることが覗えた。また、このアッセイ系を用いて、様々な転写因子、転写コファクター、シグナリング因子などを加えて、Sno1の転写活性に影響を与える因子を検索中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、Sno1と相互作用するタンパク質を共免疫沈降法、プルダウン法によって確認した後、Sno1と相互作用するタンパク質の神経堤発生における発現パターンを観察し、Sno1との局在、分布比較を行う。また、Sno1が転写調節に関与するデータが得られているが、特異的な標的遺伝子を持つのか、相互作用するタンパク質とどのような関係で転写を制御するのかを解析する。Sno1はヘリカーゼ様のモチーフを含むため、転写に加えてDNA複製、修復の機能に関与する可能性も考えられるため、細胞周期におけるSno1の機能にも、相互作用するタンパク質と関連して解析を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、Sno1解析のための分子生物学、細胞生物学関連試薬などと共に、マウス胚への遺伝子導入解析を行うためのフェムトジェット購入に研究費の多くを充てる。その他、学会参加費や実験アルバイトの賃金、論文投稿を視野に入れた論文校閲費に使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)