2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経突起の分岐を制御する新規因子のマウスを用いた遺伝学的解析
Project/Area Number |
24790192
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
犬束 歩 名古屋大学, 環境医学研究所, 研究員 (30584776)
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Keywords | 神経突起 / 形態形成 / キナーゼ / 細胞骨格 / ゴルジ染色 |
Research Abstract |
我々の運動や認知、精神活動などを規定する神経回路は、最終分裂を終えた無数の神経細胞がその細胞体の占めるべき位置に向けて移動した後、もしくは移動しながら、神経突起を伸ばし、軸索突起が標的細胞へシナプスを作ったり、逆に樹状突起がシナプス入力を受けたりすることによって形成される。この過程において、神経突起は分岐し側枝を形成するが、そのことによって神経回路は複雑性を増し、より高度な情報処理を可能にしているものと考えられる。申請者はこの過程の分子機構を明らかにするため、神経系に特に強く発現し神経突起の分岐を強く引き起こすような分子を探索し、プロテインキナーゼBranching Kinase(BrancK)を見出した。本研究では、BrancKについて、その遺伝子欠損マウスの解析を中心に、結合タンパク質、上流下流因子の同定を含めた総合的な解析を行い、その作用機序と生体内での役割を明らかにした。遺伝子欠損マウスにおいては、軸索突起の軽度分岐不全が見出され、in vitroで観察された分子機能がin vivoにおける神経発生過程においても確認された。結合タンパク質については、yeast two-hybrid法にて新規分子の同定に成功し、やはり神経系にほぼ特異的に発現する分子を見出した。現在は、その遺伝子欠損マウスを導入して機能を解析中である。必ずしも同様の表現型ではないが、軸索突起の異常が観察されているので、両者の掛け合わせによって表現系の増強などがおこるのかどうかを解析している。下流因子としては、Branckの存在下にその凝集が観察されるような細胞骨格分子が得られているので、そのリン酸化や分子会合に必要な領域などを決定しつつある。
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