2014 Fiscal Year Annual Research Report
中枢性高血圧の発生メカニズムの解明:呼吸循環連関からのアプローチ
Project/Area Number |
24790206
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小金澤 禎史 筑波大学, 医学医療系, 助教 (80431691)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 循環調節 / 高血圧 / 交感神経 / 呼吸中枢 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓・血管運動を支配する交感神経活動の先天的な亢進は、恒常的な心機能亢進および抵抗血管収縮による神経性高血圧をもたらす可能性が示唆されているが、その脳内メカニズムの詳細はブラックボックスとして扱われている。そこで、本研究では、交感神経活動にみられる呼吸性リズムに着目し、呼吸中枢と循環中枢の間のニューロンネットワークを詳細に解析し、なぜ、交感神経活動の異常亢進による神経性高血圧がもたらされるのか?について、その本態を解明することを目的とし、正常ラットおよび自然発症型高血圧ラットを用いて詳細な解析を行った。その結果、高血圧ラットにみられる呼吸活動に関連した交感神経活動が、正常ラットのそれよりも有意に亢進していることを確認した。また、この高血圧ラットにおける呼吸活動に関連した交感神経活動の亢進に、循環中枢内の抑制性シナプス伝達が関与しているかどうかを調べたところ、GABAおよびグリシンによる神経伝達がそれぞれ呼吸相依存的に関与している可能性が示唆された。さらに、循環中枢および呼吸中枢の双方に影響を与える低酸素環境下における交感神経活動の変化を解析したところ、低酸素環境下における末梢化学受容器からの興奮性入力においては、ATPによるシグナル伝達が循環調節および呼吸中枢の双方に影響を与えることが示唆された。一方、脳内の低酸素状態においては、循環中枢のみが積極的に低酸素を感受し、さらにこの循環中枢の低酸素感受性は呼吸相依存的にATPによって抑制性に調節されていることが示唆された。以上の結果は、高血圧にみられる交感神経活動の異常亢進に関するメカニズムを解明する上で、非常に重要な知見となるものと考えられる。
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Research Products
(3 results)