2013 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイトにおける情報伝達物質放出制御機構の解析
Project/Area Number |
24790207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪井 貴司 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80415231)
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Keywords | 開口放出 / ATP / イメージング |
Research Abstract |
アストロサイトは、細胞内カルシウム濃度上昇依存的にATPやグルタミン酸などを放出する。これら化学物質は、グリア情報伝達物質と呼ばれ、シナプス機能の調節に関与することが示唆されている。しかし、どのような分子メカニズムでアストロサイトからATPが放出されるのかについては、不明である。 マウス大脳皮質初代培養アストロサイトおよびアストロサイトモデル細胞であるC6細胞へ、分泌顆粒内にATPを輸送する小胞型ヌクレオチドトランスポーター(NT)に緑色蛍光タンパク質を融合させた遺伝子(GFP-NT)を遺伝子導入し、その細胞内局在を解析した。初代培養アストロサイトおよびC6細胞において、GFP-NTは、細胞質全体に存在した。ATP含有小胞を染色するMANT-ATPを用いて細胞を染色したところ、MANT-ATPは、GFP-NTと共局在を示した。また、GFP-NTは、ペプチドホルモン含有顆粒やシナプス様小胞とも一部共局在を示したが、特にリソソームと高い共局在を示した。 次に、細胞へグルタミン酸やカルシウムイオノフォアなどの分泌誘導刺激を与えた際のGFP-NTの動態を可視化解析した。その結果、GFP-NTが一時的に細胞膜と融合する反応が観察された。NTの機能をEvans Blueによって阻害すると、リソソームへのATP取り込みが抑制された。また、RNA干渉によってNTの発現を抑制すると、細胞から放出されるATP量が低下した。以上の結果から、アストロサイトから放出されるATPは、リソソームを介して分泌されこと、そして、リソソーム上に存在するNTがATPをリソソーム内に輸送し、貯蔵することで調節されている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)