2013 Fiscal Year Research-status Report
インクレチン刺激によるβ細胞インスリン分泌制御機構の数理モデル化とその定量的解析
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24790211
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹田 有加里 立命館大学, 生命科学部, 助教 (20582159)
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Keywords | 受容体・細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
本年度においては、当初平成24年度の研究実施計画A)の提案を一部変更し、研究を遂行した。まず、Kaftan et al (1997)をベースにイノシトール三リン酸受容体(IP3R)モデルを構築し、定常状態における[IP3]・[Ca2+]依存性のIP3R活性(実験データ)を正確に再現した。また、モデルフィッティングによって、IP3並びにCa2+の解離定数を推定し、それらが実験値と類似した値であることを確認し、モデルの妥当性を示した。 次に、よりダイナミックな細胞内カルシウム([Ca2+]i)の時間変化を再現するため、Ca2+の結合に時間依存性を持たせ、そのIP3Rモデルを簡略β細胞モデルに実装し、GLP-1刺激で惹起されるカルシウム誘発カルシウム遊離(CICR)を再現させた。また、Ca2+結合の速度定数はCICRの時間変化を正確に再現することで決定した。さらに、血糖上昇時において、β細胞のバースト発生時と同様に、簡略細胞モデルの総カルシウム量を上昇させると、実験で記録されているような自発的[Ca2+]i oscillationを誘発させた。最後にinstantaneous equilibrium analysisやbifurcation analysisを持ちて、GLP-1刺激下でみられる[Ca2+]i oscillationの発生条件やそのメカニズムを検証した結果、Ca2+によるIP3Rのinactivationの時定数がactivationの時定数よりも非常に遅い(≈
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GLP-1刺激下における膵β細胞のCa動態を再現することができ、またinstantaneous equilibrium analysisやbifurcation analysisを用いて、[Ca2+]i oscillationの発生条件やそのメカニズムについての定量的な解析を行った。 平成25年度は、教育業務が予想を上あまり、当初予定していた実験研究を遂行することができなかったが、シミュレーション研究によって、血糖上昇時特異的に発生する[Ca2+]i oscillationへのIP3Rの関与を提唱することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はインスリン分泌モデルを構築する予定である。 インスリンは生成後、細胞内部(reserve granule pool (RGP))に分泌小胞として貯蓄され、細胞膜付近(readilyreleasable granule pool(RRGP))へ移動する。小胞のv-SNAREと細胞膜のt-SNAREが結合すると、分泌小胞と細胞膜の膜融合がおこり、インスリンが分泌される。上記一連の分泌小胞の時間推移や分泌量の[Ca2+]i依存性、またPKA・Epacによるインスリン分泌制御の分子メカニズムを文献データに基づきモデル化する。 Wanらの報告によると、high calcium-sensitive pool (HCSP) として貯蓄されるインスリンの分泌小胞の存在が示唆されており、HCSPからのインスリン分泌の速度定数は ~0.02秒とRRGP(τ= >1秒)に比べ非常に速い。RRGP とRGPの2-state modelでは、Ca2+刺激とインスリン分泌の関係が正確に再現できない場合、HCSPを含む3-state modelを作成し、実験データの正確なシミュレーションが可能であるかどうか検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、GLP-1刺激下における膵β細胞のCa動態を再現し、instantaneous equilibrium analysisやbifurcation analysisを用いて、[Ca2+]i oscillationの発生条件やそのメカニズムについての定量的な解析を行ったが、教育業務が予想を上あまり、当初予定していた実験研究を遂行することができなかったため、次年度使用額が生じた。 これは、その他の資金と併せて以下のように使用する計画である。 次年度に予定しているシミュレーション研究とともに、当初予定していた生理学実験の遂行や(\100,620)、研究結果の発表やそれについてのディスカッションを行うための学会参加費として使用する(\1,040,000)。参加予定の学会は以下に示す。 59th Biophysical society Annual Meeting、74th American Diabetes association scientific sessions(研究成果発表・情報収集のための旅費・宿泊費)
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Research Products
(7 results)