2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞がネクローシスで死ぬかアポトーシスで死ぬかを決定づける因子の探索と機能解析
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24790216
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
佐藤 聡 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (40530663)
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Keywords | 細胞死制御 / ATF3 / Lamin-B1 / Cytokeratin-19 / Hsp90 / ネクローシス / アポトーシス / MicroRNA |
Research Abstract |
本研究は、細胞がネクローシスで死ぬかアポトーシスで死ぬかを制御する因子の探索とその機能解析を行い、細胞死の決定機構を明らかにすることを目的として実施した。我々は抗がん剤5-fluoro-2'-deoxyuridine (FUdR)を作用させるとネクローシスを起す哺乳動物細胞FM3A細胞F28-7株とその変異株でアポトーシスを起すF28-7-A株を細胞死の解析モデルとして研究を行い、これまでに細胞死を決定づける因子として核膜構造タンパク質Lamin-B1、細胞骨格タンパク質Cytokeratin-19、分子シャペロンHsp90、転写因子ATF3(Activating transcription factor 3)を見出している。平成25年度は以下の研究成果を得た。 (1) 平成24年度までの研究から見出している細胞死制御因子Lamin-B1、Cytokeratin-19、Hsp90、ATF3について、各因子間の関連性を調べた。各細胞死制御因子をそれぞれsiRNAでノックダウンしても他の因子の発現量に影響はなかった。また、分子シャペロンHsp90とLamin-B1、Cytokeratin-19、ATF3との直接的なタンパク質-タンパク質相互作用は見られなかった。 (2) これまでの研究から見出しているネクローシスを起す細胞とアポトーシスを起す細胞で発現量の異なるmicroRNA(miRNA)について、miRNA mimic及びmiRNA inhibitorを用いて細胞死の表現系に与える影響を調べた。その結果、アポトーシスを起す細胞で多く発現しているmiRNAを、本来FUdR作用によりネクローシスを起す細胞に過剰発現させると、その細胞死がアポトーシスに変化することを明らかにした。 (3) 細胞のネクローシスとアポトーシスを決定づけるmiRNAについて、Lamin-B1、Cytokeratin-19、ATF3の発現における役割を調べた。ネクローシスを起す細胞に、このmiRNAを過剰発現させると、タンパク質レベルでLamin-B1が減少することを明らかにした。Cytokeratin-19及びATF3の発現は、このmiRNAを過剰発現しても影響を受けないことが明らかになった。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] ホウ素中性子捕捉反応に対するがん細胞の応答機構の解析2013
Author(s)
佐藤 聡, 伊藤 祐, 齋藤 総一郎, 藤森 浩彰, 平井 崇久, 新井康仁, 櫻井良憲, 田中浩基, 今堀 良夫, 村上 康文, 伊丹 純, 中村 浩之, 鈴木 実, 小野 公二, 増永 慎一郎, 益谷 美都子.
Organizer
平成25年度京都大学原子炉実験所専門研究会「BNCTの新展開-特殊な療法から一般的な療法への移行を目指して-」
Place of Presentation
熊取, 大阪
Year and Date
20131210-20131211
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[Presentation] ホウ素中性子捕捉反応後のヒトがん細胞株における細胞死応答のtranscriptome解析2013
Author(s)
伊藤 祐, 佐藤 聡, 齋藤総一郎, 藤森浩彰, 平井崇久, 新井康仁, 村上康文, 今堀良夫, 伊丹 純, 鈴木 実, 小野公二, 増永慎一郎, 益谷美都子.
Organizer
第72回日本癌学会学術総会
Place of Presentation
横浜, 神奈川
Year and Date
20131003-20131005
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[Presentation] ホウ素中性子捕捉反応に対するがん細胞の応答機構のプロテオーム解析2013
Author(s)
佐藤 聡, 伊藤 祐, 齋藤総一郎, 藤森浩彰, 平井崇久, 今堀良夫, 村上康文, 伊丹 純, 中村浩之, 鈴木 実, 小野公二, 増永慎一郎, 益谷美都子, 櫻井良憲, 田中浩基.
Organizer
第10回日本中性子捕捉療法学会学術大会
Place of Presentation
岡山, 岡山
Year and Date
20130907-20130908
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[Presentation] 口腔がん細胞株SASにおけるホウ素中性子捕捉反応後の遺伝子発現解析2013
Author(s)
伊藤 祐, 佐藤 聡, 齋藤総一郎, 藤森浩彰, 平井崇久, 新井康仁, 今堀良夫, 村上康文, 伊丹 純, 中村浩之, 鈴木 実, 小野公二, 増永慎一郎, 益谷美都子, 櫻井良憲, 田中浩基.
Organizer
第10回日本中性子捕捉療法学会学術大会
Place of Presentation
岡山, 岡山
Year and Date
20130907-20130908
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