2012 Fiscal Year Annual Research Report
2型糖尿病心筋の小胞体ストレスが及ぼす一過性外向きカリウム電流減少の機序解明
Project/Area Number |
24790218
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 達也 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40592473)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 一過性外向きカリウム電流 / 2型糖尿病 / Irx5 / 小胞体ストレス |
Research Abstract |
2型糖尿病は心不全や心臓突然死のリスクを増加させるが、心筋細胞のイオンチャネルリモデリングに関する報告は少ない。そこで今回、肥満2型糖尿病モデルのラット(OLETF)を用い、イオンチャネルリモデリングに関して研究を行った。 左室心筋細胞を単離し、ホールセルパッチクランプ法による実験では、OLETFは非糖尿病コントロール(LETO)に比して、心内膜側にて一過性外向きカリウム電流(Ito)の電流密度の減少を認めた。次に、RT-PCR法およびウエスタンブロット法でItoを構成するサブユニットの検討を行ったところ、心内膜側にて、OLETFはLETOに比してKv4.2とKChIP2のmRNAレベルおよび蛋白レベルの低下を認めた。心内膜側に豊富に発現し、Kv4.2を負に制御することが知られている転写因子Irx5のmRNAは、OLETFでLETOに比して有意に発現が亢進しており、各サンプル間でIrx5とKv4.2のmRNAは有意な負の相関を示した。一方、OLETFではLETOに比して小胞体ストレスマーカーであるGRP78、GRP94の蛋白レベルの亢進を認めたが、小胞体ストレス軽減薬である4-phenylbutyric acidの40mg/kgの1週間の腹腔内投与は、OLETFでのGRP78, GRP94の蛋白レベルおよびIrx5のmRNAレベルを低下させた。最後に、H9c2心筋細胞を小胞体ストレス誘導薬であるthapsigargin(0.1μmol/L)やtunicamycin(1.0μg/mL)の存在下で24時間培養すると、コントロールに比してIrx5のmRNAは有意に発現が亢進した。 以上より、2型糖尿病における心内膜側有意のIto減少の機序として、小胞体ストレス亢進によるIrx5発現亢進を介したKv4.2の発現低下が寄与していることが示唆された。
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