2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト母性獲得メカニズムの脳・内分泌・遺伝子連関からの解明
Project/Area Number |
24790235
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西谷 正太 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50448495)
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Keywords | 母性 / エピジェネティックス / ホルモン / 発達・成長・老化 / 脳 |
Research Abstract |
本研究では、妊娠中のホルモンの急増が、ホルモン受容体や脳構築関連遺伝子上のメチル化をもたらし、それが母性の中枢の一つとされる前頭前野を母親脳化することに決定的であること、また、このメカニズムからの逸脱が母性の欠落をもたらすこと、を明らかにすることを目的とし、以下の研究を行った。 昨年度に引き続き、母性愛を反映している可能性のある脳活動(わが子の映像を呈示し、他児の映像の呈示条件と比較した脳活動)を測定済みの母親38名を対象に、採取済みの唾液試料からDNA抽出し、オキシトシン受容体(OXTR)遺伝子プロモーター領域のメチル化解析を行った。この領域のメチル化率は、健常者に比べ、自閉症スペクトラム障害患者で高いことに加え、社会性に関する脳活動との相関性も報告されている。そこで、この領域に絞ったメチル化解析を進めた。現在、これまで実施してきたクローニングによるメチル化解析法に代わる、パイロシーケンス法(現在、メチル化解析において世界標準と言える)を確立し、対象者全員の解析を終えた。また、唾液由来のDNAは74%が白血球由来であることが指摘されていることから、メチル化率に関して血液由来のDNAと相関性がある可能性が考えられるが、OXTR遺伝子プロモーター領域に関して確かめられていない為、これを解析中である。 一方、本研究では、上記の対象者とは別に、前向きコホートにより、初産婦53名、経産婦103名から、妊娠12週:142人、30週:124人、産後入院中:113人、1ヶ月:107人、4ヶ月:123人、10ヶ月:117人、18ヶ月82人(追跡中)の唾液採取も行った。今後、経時的な試料が得られた初産婦を中心に、OXTR遺伝子プロモーター領域に注目したメチル化を調べ、周産期の経時的な変化の有無を調べたい。
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