2012 Fiscal Year Research-status Report
セクレチンーオキシトシン系が担う社会的記憶の神経基盤の解明
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24790236
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| Research Institution | Jichi Medical University |
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Principal Investigator |
高柳 友紀 自治医科大学, 医学部, 講師 (10418890)
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| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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| Keywords | オキシトシン / セクレチン / 社会的記憶 / 視索上核 / 内側扁桃体 |
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| Research Abstract |
本研究の目的は、社会的記憶におけるセクレチンｰオキシトシン系の生理的役割を明らかにすることである。社会的記憶は未知の個体と既知の個体を区別するための記憶で、ヒトが適切な社会生活を営む上で重要である。しかし、社会的記憶の分子機構はほとんど明らかではない。また、セクレチンとオキシトシンは各々社会行動に重要であることが知られるが、その互いの関係性は不明である。
脳室内にセクレチンを投与すると、視索上核のオキシトシン産生ニューロンが活性化され、脳内にオキシトシンが放出される。また、セクレチンあるいはオキシトシンを投与すると社会的記憶が促進される。そこで、セクレチンによって放出されるオキシトシンの社会的記憶における作用部位について、オキシトシン受容体が発現しており社会的記憶に重要といわれる内側扁桃体を考え、マイクロダイアリシス法による検討を行った。視索上核にセクレチンを投与すると、内側扁桃体におけるオキシトシンが徐々に上昇した。視索上核オキシトシン産生ニューロンの内側扁桃体への投射はあまり知られておらず、細胞体樹状突起からの放出である可能性が考えられる。一方、視索上核にセクレチンを局所投与すると、社会的記憶が促進された。また、その時に内側扁桃体にオキシトシン受容体アンタゴニストを投与すると、社会的記憶が抑制された。よってこれらの結果から、視索上核のオキシトシン産生ニューロンにセクレチンが働き、オキシトシンが脳内に分泌されて、内側扁桃体で社会的記憶の制御に関わる可能性が示唆された。
一方で、社会的記憶の制御を担うオキシトシン産生ニューロンを同定する目的で、オキシトシン遺伝子のプロモーター下にヒトジフテリア毒素受容体遺伝子を組み込んだコンストラクトをトランスジーンとし、時期・部位特異的にオキシトシン産生ニューロンを破壊できるトランスジェニックラットを作製し、ラインを確立した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セクレチンがオキシトシンの分泌を促進して社会的記憶を亢進すること、そしてセクレチンとオキシトシン各々が作用する部位の候補を明らかにした。また、オキシトシン産生ニューロンを特異的に破壊できるトランスジェニックラットを開発した。これらは当初の計画通り順調に進展している。オキシトシン産生ニューロンを破壊するためにトランスジェニックラットに対して用いる薬剤の投与量検討で若干予定より時間を費やしているが、全体的にはおおむね順調に進んでいる。
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| Strategy for Future Research Activity |
社会的刺激によって活性化されるセクレチン－オキシトシン系神経細胞を同定する。また、それらが社会的記憶の獲得あるいは想起のどちらで活性化されるのかを明らかにする。一方、現在までに明らかにしたセクレチン－オキシトシン系の作用部位候補について、遺伝子欠損マウスに対する回復実験やトランスジェニックラットを用いた細胞破壊実験、オプトジェネティクス法を用いた神経活動操作と行動制御を行い、検討する。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験の進展状況にあわせて、当初購入を予定していた機器の購入を見合わせたため、当該年度の使用残額を次年度に使用することにした。次年度分助成金として、物品費に130万円、外国旅費に10万円、その他費用に20万円を使用する目的で計160万円請求した。これに対して、当該年度の使用残額37万8,159円を、一般試薬および実験用動物購入のための消耗品費として32万8,159円、国際学会参加費用支払いのためのその他費用として5万円に分配し、次年度分助成金に加えて使用する。
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Research Products
(2 results)
